新型コロナでネット・ゲームの時間が増える家庭3つの傾向

不登校支援

こんにちは ツナカンです。

私はふだん

適応指導教室のカウンセラー(公認心理師)として

不登校のお子さんや

子育てに悩む保護者の方

学校の先生方

の支援にあたっています。

 

これまで

子どものインターネット・ゲーム依存

についての相談に対応もしてきました。

そして,これまでにいくつかの記事を書いてきました

今回

日本財団と三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社

から

新型コロナとスクリーンタイム増加の関連性 について

興味深いレポートが発表されましたので

それをシェアします。

小学生から高校生の子どもがいる世帯の親 4,000 人を対象にした

ネットによる調査です。

 

規模としてはかなり大きな規模ですので

それだけ信頼性は高いと考えられます。
今回は

新型コロナでネット・ゲームの接触時間が増える家庭の傾向・特徴

をお伝えします。

 

このレポートを読んだ私の結論は

  • どんな教材を与えても子ども任せでは勉強はしない
  • 勉強で他者を出し抜くなら今のうち

です。

ちょっとあおるようですが

記事を読んでいただいて

考える機会にしてもらえたら幸いです。

 

 

 

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新型コロナでネット・ゲームの時間が増える家庭3つの傾向

以前,新型コロナで

子どものゲーム依存の傾向が強くなっている印象を

記事にしました。

 

今回ご紹介するデータには,

私がもった印象と一致する面がありました。

子どものネット依存が深まる家庭の特徴・傾向は

以下の通りです。

  • 世帯年収が400万未満
  • 子どもに勉強する習慣がついていない
  • ひとり親世帯

 

先に見方を説明しておきます。

新型コロナの緊急措置で

休校前~休校期間(20204月頃)~休校期間開け

の変化を追跡したレビューになっています。

 

V字型,もしくは山型のグラフが出てきます。

V字の下の角部分・山型のてっぺんが休校期間中 ということになります。

そして,

Vと山の角度が大きいほど,休校期間中とそうでない期間の差が大きい

ということです。

 

 

世帯年収が400万未満

400万未満であると,非常事態になった場合でも

子どもの教育のために資金を工面するのは楽ではありません。

 

一方

収入が高い世帯では,子どもの教育のためにお金を使える

ということが推測されています。

 

また,いつでも学べるオンライン教材ではなく

教師と双方向のやり取りで学べる教材が学習時間の減少に効果的

である可能性があげられています。

 

 

800万円以上の世帯では

双方向型のネット教材に

教育資金を回すゆとりがあるということでしょう。

 

 

 

 

 

子どもに勉強する習慣がついていない

そもそも,子どもに学習する習慣が身についていない場合

学校がなくなれば,より勉強をするきっかけがなくなります。

新型コロナの休校期間の影響で

スクリーンタイム(ネットに触れる時間)を

比べています。

 

もともとの成績が

  • 上の方だと感じている子
  • 真ん中くらいだと感じている子
  • 下の方だと感じている子

この三者を比較した場合の図が以下の通りです。

 

 

これを見ると明らかに

成績が低いと感じている子はスクリーンタイムが増えている

ことがわかります。

 

次に双方向型の学習(ネットで先生とやり取りしながらの学習)

とオンデマンド(いつでも自分の好きなタイミングで学習)

するタイプのネット教材による学習時間の差は以下のようになっています。

 

真ん中の子と,上の方の子では効果があるようですが

オンデマンド教材(自分が好きな時にできる)はどのレベルの子にも効果がないように見えます。

ただし,双方向方式の学習は真ん中くらいの子,上の方の子には効果があったようです。

 

もともと学習する習慣がなく,成績が低い子には

ネットのどんな教材を使っても学力の補償の効果は少ない

とも解釈できます。

 

ネット環境は低価格化が進み,世帯収入が低くても

インターネット自体はできる環境は整っています。

こうした環境が勉強よりもインターネットに触れる時間を

増やしてしまっていると考えられます。

 

今後は今回の新型コロナのための休校措置によって

勉強ができる子と,できない子の差がより開くことに

なるでしょう。

 

 

 

ひとり親世帯

どの世帯でもスクリーンタイムは伸びていますが

特に,ひとり親家庭ではスクリーンタイムの伸びが大きく

それと比べて二人親家庭や,三世帯ではスクリーンタイムの伸びが

少ないことがわかります。

 

以前,子どもをネット依存にするリスクの高い育て方について

記事にしていますが

ひとり親であることで,家庭でのゲームやネット利用のルールを

守らせるためのパワー不足であることが考えられます。

 

これについては,親の責任を追及するのではなく

親が支援機関で継続的に相談をし続けるとともに

支援機関もハイリスクな状況であることを理解しながら

現実的な解決方法を模索する必要があります。

 

 

 

子どものインターネット依存が酷くなってしまったら

はっきり言って

現段階で 子どものインターネット依存を一発で解決する方法はありません。

 

一番シンプルなのは,

一度ネットを完全に断ち,親のコントロールを取り戻してから

少しずつ子どもができる範囲を広げていくことです。

 

しかし,ここまで上げてきたような3つのリスクがある時

現実的にはかなり難しい解決策です。

 

では,現実的にはどうすれば良いのでしょうか。

今,私が考えられるのはこのようなものです。

  • 飽きるまで待つ
  • 痛い目を見るまで待つ
  • ゲームの世界観を理解する
  • ゲームの中で収入が得られるよう応援する
  • 気づかれないように徐々に制限をしていく
  • ゲームに以外の楽しみの時間を増やす

 

 

 

その①:飽きるまで待つ

〇方法

とにかく飽きるまでやらせます。

今時はゲームは簡単には飽きないようにしていますから

子どもの将来への心配と,ゲームの運営側との

根競べです。

 

〇メリット

大きなメリットはないと思いますが

少なくとも子どもとの衝突は

減るでしょう。

親側に十分な作戦がない時には

こうならざるを得ませんが

むしろ,作戦が立つまでは

この方が安全なこともあります。

 

〇デメリット

ゲームの世界以外で

子どもの将来の選択肢が減ること

昼夜逆転になりやすく体調を崩したり

生活の乱れが精神衛生的にも良くないことです。

それに伴って親の目が届かないと

多額の課金をしてしまうケースもあります。

 

皮肉な言い方にはなりますが

現実の世界で寝ないで働く人がいるくらいですから

ゲームの世界で食べていくことができるなら

多少は生活が乱れるのも

認められる時代が来るのかもしれません。

 

 

その②:痛い目を見るまで待つ

〇方法

ネットのゲームは運営側のさじ加減一つで

どうとでもされてしまいます。

運営側が途中で運営をやめてしまうこともあります。

それまでに費やしたお金も時間も

ほとんど無駄に感じられるでしょう。

それ以外にも,体調を崩したりすれば

その時に何かに気づくこともあるでしょう。

また,一つのゲームでもブームが過ぎれば

次第に飽きが来ます。

 

どんなゲームでも流行はすたれます。

年齢が過ぎれば趣向が変わるし

考え方も変わるので

その時には何かに気づくこともあるかもしれません。

 

〇メリット

子ども自身が気づきを得られることでしょう。

また親は子どもとの衝突をしないで済むことです。

 

〇デメリット

こちらも,親とゲーム運営側との根競べです。

精神的に親も追いつめられるでしょうが

戦略的にそういう対応をするのであれば

こういう選択肢もあってよいのではないでしょうか。

スポーツのように世の中に認められていることでも

夢中になれば何かを失います。

将来はゲームに夢中になることが

世の中に認められる時代が来ないとも言えません。

 

その③:ゲームの世界観を理解する

〇方法

一緒にやらないまでも

子どもがゲームのどんな所に夢中になるのか

それを知るだけでも,子どもの気持ちを理解できます。

 

初めは怪しまれるかもしれませんが

一方的な制限をするよりも

自分のことを理解される方が子どもも喜ぶものです。

 

〇メリット

子どもと気持ちの距離が近づきます。

そうしているうちに,何かきっかけをつかめるかもしれません。

そのためには,制限ありきで近づくのではなく

単純に観察してみることをおススメします。

 

〇デメリット

デメリット自体はあまりないとは思いますが

もしかすると,親もゲームに引き込まれるかもしれません。

 

 

その④:ゲームの中で収入が得られるよう応援する

〇方法

単純にゲームをするのではなく

クリエイター側になることを思い切って提案します。

私が関わった子でも,流行のゲームのマップを作って

小遣いを稼ぐ子がいました。

また,YouTubeなどで動画配信するのも一つの方法です。

 

上手でないと見てもらえないと思いがちですが

下手なところから,徐々にうまくなっていく過程を見せるのも

意外と喜ばれています。

次第にファンがついてくれたりするようです。

こんな風にアカウントを育てる観点が

これからの時代は必要になるでしょう。


〇メリット

クリエイティブなところです。

作り出す側になると,いろいろな工夫をするようになります。

この観点は,ゲーム以外でも色々な場面で使える

大事な発想ですから将来に繋がります。

また,大人の立場からしても

ゲームをしていた時間も無駄ではないと思えるでしょう。

してみることが良いと考えます。

 

〇デメリット

ますますゲームにのめりこむかもしれないし

ゲーム以外のコンテンツも使うのですから

そちらにも波及する可能性があります。

しかし,メリットの方が大きいのでしたら

チャレンジする価値があります。

 

 

その⑤:気づかれないように徐々に制限をしていく

〇方法

子どもに気づかれないように

ほんの少しずつ制限を加えていきます。

 

〇メリット

少しずつではありますが

大人が主導権を取り戻すことができるかもしれません。

 

〇デメリット

子どもに気づかれたら大きな反発になります。

ゲーム依存の状態の子どもにとっては

ゲームの価値はとてつもなく大きくなっています。

制限されることにはかなり強く反応するでしょう。

ですので,基本的には子どもとの話し合いが大切です。

 

その⑥:ゲームに以外の楽しみの時間を増やす

〇方法

ゲームの時間を減らすうえでは

この方法が一番ソフトな方法でしょう。

身体を動かすのが好きならば

一緒に運動することに誘ってもいいでしょう。

しかし,親の押し付けではなく

今流行のゲームFPSゲームをしているのであれば
※ 主観で打ち合いをするゲーム

サバイバルゲームに誘うなど

子どもが好きなゲームと近いものがおススメです。

またゲーム以外の趣味を持っていたのであれば

一緒にやってみるのも良いでしょう。

 

〇メリット

子どもの抵抗感が少ないところです。

また時間はかかるでしょうが

ゲームに飽きたときに

現実世界に戻る橋渡しになります。

 

〇デメリット

一緒にできるものがない場合があります。

またそれなりにお金や時間がかかります。

 

 

コロナは学力格差を開くのか

今回の調査を見る限りでは

もともと勉強が苦手だった子と,そうでなかった子の傾向はさらに開き

収入間格差は子どもの学習状況にも影響を与えたように感じられます。

どの教材・どの世帯・学力のレベルでも,コロナ休校の時期には

学習が落ち込む傾向は同じでしたが

その後の学習状況に改善は差がみられています。

 

しかし,道はいろいろあります。

ある時,勉強の必要性を感じるきっかけがあるかもしれません。

地道に働きかけることで

改善することがあるかもしれません。

 

逆に,勉強がダメでも自分を表現できる場所があるとか

能力を発揮できる場所がネットにあるのであれば

案外悲観することでもないのかもしれません。

 

ただ,せめて保護者は

金銭問題や非行にならないよう見守る

ことは必要でしょう。

 

 

まとめ

今回は,

新型コロナによってネット依存が進むリスクが高い家庭の状況3つ

をご紹介しました。

 

念のため付け加えておくと

この三つがそろったからと言って

ネット依存になるわけでもないですし

この条件がそろわなくても

ネット依存になるリスクはあります。

 

また,最初にお伝えした通り

  • どんな教材を与えても子ども任せでは勉強はしない
  • 勉強で他者を出し抜くなら今のうち

こんな感想を私は持ちました。

見方を変えれば,逆転のチャンスもあるということです。

一方,これからの時代は社会がインターネットに依存する傾向が

ますます強まりますから

大人の側もどう向き合うのか考えていく必要がありますね。

 

質問・感想やご相談は以下のリンクまで

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出所:日本財団・三菱 UFJ リ サーチ&コンサルティング調査

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