こんにちは
公認心理師のツナカンです。
ふだんは,教育支援センター・適応指導教室で
カウンセラーとして
お子さんや,親御さん,先生方の応援をしています。
お子さんが不登校になったら
このままじゃどうなっちゃうんだろう!?
親御さんは将来を心配します。
また,お子さん自身も
このままで高校に行けるのかなぁ…
と心配になる時期が必ず来ます。
そんな不登校のお子さんや親御さんの心配を解決するには
具体的に進路がわかる必要があります。
そして,その中の有力な選択肢の一つが
通信制高校 です。
今回は 通信制高校の3形態 について解説します。
この記事を読むとこんなことがわかります。
広域通信制高校の3年間の学費は約200万
高校生の5.9%が通信制高校を選んでいる
この記事を読んでもらい,事実がわかれば
具体的に準備をすることができるし
準備ができた分だけ不安も減るはずです。
通信制高校の3つの形態
通信制高校には主に3つの形態があります。
以下,一つずつ説明していきます。
その①:サポート校
サポート校とは 学習支援施設 と呼ばれ
民間の教育施設が通信制高校と連携して学習活動を行います。
サポート校自体は学校教育法で定められた“学校”ではありません。
そのため,指導者は必ずしも教員免許を持っていません。
〇デメリット
“学校”ではないため,サポート校を出ても高校卒業資格は取得できません。
そのため,必ず提携している通信制高校への入学(Wスクール)が必要
になります。
また,その分の学費も高くなります。
〇メリット
運営しているのはほぼ民間企業です。
そのため,民間ならではの特色ある教育や気づかいや
新しいアイデアなどが期待できます。
ちなみに,私の住む関東近辺で見聞きする機会があるのは
- 代々木高等学校
- ルネサンス高等学校
- N高等学校
などです。
その②:技能連携校
技能連携校とは高等専修学校に入学しながら
広域通信制の学校に入学する制度です。
高等専修学校と通信制高校の卒業単位を
一部,兼ねることができます。
〇メリット
民間企業が運営していることが多く
その企業に就職するうえでは有利になります。
〇デメリット
高等専修学校と通信制高校の二つの勉強が必要です。
その分,大変ではあります。
また通信制高校と技能連携校の2つの学費が発生します。
そのため一般的な通信制の学校よりも学費の負担が多くなります。
高校を卒業し,運営する企業に就職してしまうつもりなら
待遇なども有利になると思われるので
長い目で見ればメリットは大きいでしょう。
その③:高等学校
これが 通信制高校 としてよく知られている形態です。
サポート校や技能連携校とちがって
全日併設と通信制単独校で卒業ができる形態です。
多くはありませんが公立でも設立されています。
公立と私立でのサービスの差があります。
〇メリット
学費が最も安い点です。
先にあげたように学費は実質無料です。
〇デメリット
デメリットとしては公立では数が多くないことくらいです。
公立高校の通信制は入学が4月で固定されている場合があります。
これは職員の配置や予算の関係があるからです。
通信制高校に関するお金はいくらかかるのか
通信制高校の多くは単位制です。
そのため授業料は単位の数によって変わります。
公立高校の授業料は全日制では12 万円程度で
就学支援金の制度を利用すれば実質的に無償となります。
2020年度からは,通信制課程の生徒も対象となっています。
一方,サポート校等は別に費用が必要となっています。
学費などの他にも
- 学校の特色に応じて設定されているコース費用
- 進路指導やWスクールによる提携校への費用
- 遠方へのスクーリングへの旅費などの諸費用
などがかかります。
ですから,同じ通信制と言っても
金額には幅があります。
通信制高校にはどんな生徒が通っているのか
文部科学省は通信制高等学校の生徒の全体的な特徴として,
勤労青年は減少し
- 不登校や中途退学経験者
- 特別な支援を要する生徒
- 経済的な困難を抱える生徒
など,全日制・定時制課程で学ぶことが難しい
多様な課題を抱えた生徒が集中している
という見解を示しています。
同じく文部科学省によると,令和元年時点で
高校生の5.9%が通信制高校に通っている
と発表しています。
入学と卒業
① 入学方法
通信制高校の多くは,書類審査と面接で入学でき
定員に余裕がある限りは受け入れます。
② 卒業する方法
多くの通信制高校が単位制となっており
学習指導要領で決められている74 単位を取得した時点で卒業となります。
一般的な高校である,全日制高校のように
成績不振や留年(3分の1以上の欠席)になるということはなく
必要な単位数が取れれば卒業となります。
このように
かなり緩やかな条件であることがわかります。
まとめ
今回は,不登校の受け皿としてよくあげられる
通信制高校
そして
通信制高校の三形態についてご紹介しました。
通信制高校はサポート校,技能連携校,高等学校の3つの形態がある
広域通信制高校の3年間の学費は約200万
高校生の5.9%が通信制高校を選んでいる
等の特徴があります。
また同じ通信制高校でも民間と公設でも
ちがいがあります。
同じ民間の通信制でも特色がちがいます。
それに合わせて学費も変わります。
それぞれをよく比較して
お子さんのライフスタイルや特質にあった学校選びを
したいものですね。
質問や相談等があれば,以下のリンクからどうぞ。
お問い合わせ
参考・引用文献
文部科学省(2016)高等学校通信教育の質の確保・向上方策について(審議のまとめ)
文部科学省(2020)高等学校通信教育の現状について
二宮徳次郎(2021)日本教育工学会研究報告集2021
Comments