こんにちは ツナカンです。
ふだん心理師として
不登校のお子さん
子育てに悩む親ごさん
学校の先生を応援しています。
最近、こんな通知が流れてきました。
不登校児童生徒の中には、学校や市町組合教育委員会が、民間施設に通所する不登校児童生徒の「出席扱い」について判断する際に留意すべき点を目安として示したガイドラインを策定…
と、読むだけでもめまいがしそうな文章ですが
不登校児童生徒を支援する民間施設に関するガイドライン
というものです。
中身は要するに
不登校の受け入れ先としてふさわしいフリースクールを見定めましょう
ということです。
こんな文書を出すことになったのは
居場所としてのフリースクールはいつでもだれでも作れる
からなのです。
ただし公的に学校の代わりとして認められるかどうかは
また別の話なのです。
今回の文書については
「個々の民間施設についてその適否を評価するという趣旨のものではない。」
としていますが
おかれている地域の状況をふまえて
民間のフリースクールへの訪問等をしつつ
- 子どもの安全・安心ができる場所であること
- どんな活動をしているのか
- 児童生徒の社会的自立につながっているか
これらをふまえて総合的に判断するといいます。
このことから、出席あつかいにするフリースクールと
そうでないフリースクールをわける狙いはあるはずです。
せっかく通わせているのに
学校のかわりとしてカウントされない(出席扱いにならない)のでは
親にとっても子どもにとっても心配ですよね。
そこで今回は
フリースクールのガイドラインを解説します。
これを読んでいただければ
出席扱いになるフリースクールと
出席扱いにならないフリースクールのちがい
がわかるようになるでしょう。
お子さんをフリースクールに通わせるなら
今回ご紹介するようなところを
ポイントにすると良いでしょう。
またフリースクールの主催者に
学校からの承認をうけているか
確認してみるとよいでしょう。
【通う前に…】知っておくべきフリースクール選びのポイント
今回ご紹介するガイドラインは
どうやら全国的にほぼ同じものが出されているようです。
したがってこの記事の内容は
47都道府県にほぼ通じるものでしょう。
はじめにおかたい文書をそのまま出しますが
その下に、わたしなりの解説を加えていきます。
実施主体について
フリースクールをどんな人や組織が作るのかについて
このように書かれています。
法人、個人は問わないが、実施者が不登校児童・生徒に対する支援等に関し、深い理解と識又は経験を有し、かつ社会的信望を有していること。
不登校児童・生徒に対する支援を行うことの目的が明確であり、児童・生徒が自らの進路を主体的に捉え、社会的に自立することをめざす取組がなされていること著しく営利本位ではなく、入会金、授業料(月額・年額等)等が明確にされ、保護者等に情報提供がなされていること。
今のところ
フリースクールはNPO法人が作っているところが多いのですが
そうでなくてもかまわないということです。
ただし、どんな人がふさわしいのかといえば
教育の知識や経験がある人ということです。
またお金稼ぎのためではなく
子どものためを思って支援をしていることを
一番大切にするように求められています。
支援の在り方について
- 児童・生徒の人命や人格を尊重した人間味のある温かい支援が行われていること。
- 情緒的混乱、情緒障害及び非行等の態様の不登校など、支援の対象となる児童・生徒が当該施設 の支援体制に応じて明確にされていること。また、受入れに当たっては面接を行うなどして、当該児童・ 生徒の状況把握が適切に行われていること。
- 指導内容・方法、相談手法及び支援の体制があらかじめ明示されており、かつ児童・生徒の状況に 応じた適切な内容の支援が行われていること。
- 児童・生徒の学習支援や進路の状況等につき、保護者等に情報提供がなされていること。
- 体罰などの不適切な指導や人権侵害行為が行われていないこと。
- 当該児童・生徒にとって最善の利益が尊重されること。
お子さんが不登校になるにはそれなりの理由があります。
近年、文科省の発表では不登校は子ども自身のかかえる
課題によるところがもっとも大きいとしています。
個人的にはこの発表に違和感をもっていますが
それでも色々な理由で行けなくなっているお子さんたちを見るにつけ
ただ居場所があれば良いということではないないと感じています。
つまりお子さんにとって、安全で安心できる場であること
そして、できるだけそれぞれの希望にあわせて
応援できるような場所を作ろうとしていることが大切です。
支援スタッフについて
支援スタッフは児童・生徒の教育に深い理解を有するとともに不適応・問題行動の問題等 について知識・経験をもち、その指導に熱意を有していること。また、実施者は、支援スタッフの資質向上に努めること。
専門的なカウンセリング等の方法を行うにあっては、公認心理師や臨床心理士等の有資格者や心理学や精神医学等、それを行うにふさわしい専門的知識と経験を備えたスタッフが指導にあたっていること。
宿泊による活動を行う施設にあっては、生活指導にあたる者を含め、当該施設の活動を行うにふさわ しい資質を具えたスタッフが配置されていること。
これを見ると
やはり教員の経験があると有利に思えます。
個人的には児童福祉施設の指導員のキャリアも
教員の経験の次くらいには有利だと思います。
心理職についてもかかれていますが
おそらく、現在のところはほとんどのフリースクールで
カウンセラーが雇われていることはないでしょう。
残念ながら多くのフリースクールで
カウンセラーを雇うほどの余裕はないのです。
施設・設備について
宿泊による指導を行う施設にあっては、宿泊をはじめ児童・生徒が安全で健康的な生活を営むために必要な施設、設備を有していること。
多くのフリースクールで
専用の建物などを用意することはできません。
どこかの一室を借りたり
自宅や空き家などを使って
始めることが多いのではないでしょうか。
あくまでも個人的な見解ですが
よほど酷い環境でなければ
多少古かったり薄汚れていても
大きな問題にはならないでしょう。
大切なのはお子さんにとって
緊急時の避難もふくめて安心できる場かどうかです。
そうしたところも
フリースクールに通わせようと思ったときに
見るポイントになるでしょう。
学校・市教育委員会と施設との関係について
児童・生徒のプライバシーにも配慮の上、施設への通所状況や学習等の活動の様子、支援経過などの必要な事項について、月に1回程度を目安として学校へ情報提供が行われること。
学校と施設が相互に、児童・生徒やその家庭を支援するために必要な情報等を交換するなど、学校との間に十分な連携・協力関係が保たれていること。
学校に定期的に報告書をだしたり
情報交換をしていること
これが大切です。
わたしが勤める適応指導教室でも
これと全く同じことをしています。
ほとんどの適応指導教室は、教育委員会がたてているので
報告書を作らないわけには行かないのですが
民間であるフリースクールは
報告書を作ることは義務ではありません。
そのためついつい報告書や支援計画がなかったり
あったとしても共有していないこともあるかもしれません。
学校に連絡してほしくないからフリースクールにしてるのに!
という人もいるかもしれませんが
もしも学校に少しずつでも行けるようにしたい…
そんなときに、学校に情報がないと
学校と行きちがいが起きて
また学校に行きたくなくなってしまうこともあります。
個人的には
せめて支援計画と、定期報告は
フリースクールにしてもらう方が良いと思っています。
家庭との関係について
施設での支援経過を保護者に定期的に連絡するなど、家庭との間に十分な連携・協力関係が保たれていること。
宿泊による指導を行う施設にあっては、たとえ当該施設の指導方針がいかなるものであっても、保護者の側に対し面会や退所の自由が確保されていること。
家庭と連携がとれるのはあたりまえだとして
家から離れた環境で子どもを教育するような場合でも
面会も退所も、学校が一方的に決めてしまうのではなく
親の意向にはしたがうことが書かれています。
だいぶ昔の話にはなりますが
過去に、戸塚ヨットスクールのような
子どもを預かる施設で起きた
虐待死亡事件などをうけてのことでしょう。
適応指導教室が目安になる
ここまでをまとめると
- フリースクールNPO法人でも個人でもできる
- お金稼ぎよりも、子どもの支援を大切にする
- スタッフは教員経験者が有利
- カウンセラーはほとんどいない
- よほど酷い環境でなければ良い
- 非常時の安全が確保されていること
- 面会も退所も親の意向にはしたがう
個人でもできるとか、宿泊しないなどのちがいはありますが
今回のガイドラインであげられているようなことの多くは
適応指導教室がベースになっていると思います。
適応指導教室については以下の記事でご紹介しています。
フリースクールに通わせることを考えているなら
適応指導教室にも見学に行ってみると
良いかもしれませんね。
まとめ
今回はフリースクールのガイドラインを紹介し
わたしなりの解説を加えてみました。
せっかくフリースクールに通ってみても
出席扱いにならないなら
がっかりしてしまいますよね。
特に中学校では高校入試では致命的です。
ですから、フリースクールの環境やスタッフばかりでなく
こうした基準も見ておく必要があります。
最後に重要なことをお知らせしておくと
フリースクールが出席扱いになるかどうかは
校長先生が決めます。
ですから行かせたいフリースクールが決まったら
かならず学校と相談しましょう。
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