【ざっくりわかる】アタッチメント(愛着)障害の子の特徴5つ

子育て

公認心理師のツナカンです。

 

ふだんは不登校のお子さん

 

子育てに悩む親ごさん

 

学校の先生を

 

応援しています。

 

 

 

先生から相談されるケースのなかには

 

アタッチメント(愛着)障害 と思われる

 

お子さんが少なくありません。

 

 

クラスでおちつきがないんです。

 

クラスメートとトラブルが多いんです。

 

気分のムラが多くて,感情のコントロールができないようなんです。

 

これらは発達障害とよく似ているのですが

 

情報をあつめてみると,ちがうポイントもあります。

 

今回は

 

主に幼稚園~小学生くらいの先生にむけて

 

アタッチメント(愛着)障害の子の特徴 について

 

“ざっくり”と紹介します。

 

小さいころに表れているパターンは

 

大きくなっても残りますので

 

中学校から高校の先生にも

 

知ってもらって損はない内容のはずです。

 

この記事を読むことのメリット

アタッチメント(愛着)障害のベースの知識がえられる

 

 

 

 

  • 感情のコントロールがニガテ
  • 安全感がとぼしい
  • 言葉にすることがにがて
  • 自信がない
  • 親にされたことを再現する

 

 

この記事では,いくつかの事例が出てきますが

 

わたしの経験をもとにしたフィクションです。

 

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【ざっくりわかる】アタッチメント(愛着)障害の子の特徴5つ

“ざっくり”ですので,かかわった経験がある方のなかには

 

ちがう意見をもつかもしれませんが

 

考えるきっかけにしてもらいたいと思います。

 

感情のコントロールがにがて

 

感情のコントロールのにがてさとは

  • かんしゃくを起こしやすい
  • 暴力的
  • 自閉的

 

などです。

 

一つずつ例をあげます。

 

ケース①かんしゃくを起こしやすい

 

小学校3年生のAくんは

 

クラスメートとウマがあわず

 

クラスではちょっと浮いた存在でした。

また勉強もあまり得意ではありませんでした。

 

そのため,授業中には立ち歩いたり

 

机につっぷしてしまったりしていました。

 

先生は

 

 

寝てないでおきなさい

 

 

 

 

うるせぇ!

 

 

『うるせぇ』なんて,そんな口のきき方したらダメでしょう!

 

 

 

 

うるせぇんだよ!

 

と暴れだしました。

 

そして,先生に物をなげつけ

 

先生の顔にけがをさせてしまいました。

 

先生からすれば反抗したように見えるはずです。

しかし,もともと先生を攻撃したかったのではなく

 

自分が抱えているストレスをどうしたらいいのか

 

わからなかったのです。

 

 

 

ケース②暴力になりやすい

 

A君はB君と,休み時間に遊んでいました。

 

しかしA君はルールを守ることができず

 

B君から

それはズルだ!

 

と言われると

 

うるせぇ!

 

 

 

といきなりB君をなぐりつけたのです。

 

自分の気もちを言葉で説明するよりも先に

 

手が出てしまいました。

 

 

 

ケース③自閉的

 

小学校4年生のCさんは

 

ふだんから,あまり人とコミュニケーションをとりません。

 

成績もよいとはいえませんでしたが

 

目立つこともなかったので

 

先生はあまり問題を感じませんでした。

 

しかし,ほかの子から

 

「先生,Cさんがノートに怖い絵を描いてるんです。」

 

と相談されました。

 

休み時間にイラストを描いているCさんを

 

そっと見に行ってみると

 

血まみれの女の子の絵や,ブキミな色づかいの絵を

 

描いているのでした…。

 

 

 

最初の二つのパターンは,攻撃性がおもてに出ているのですが

 

Cさんのケースでは,内にあって,外からは見えません。

 

でも,どのパターンにもいえるのは

 

強い攻撃性をもっているということです。

 

シチュエーションが変わればCさんが

 

攻撃性をむき出しにすることだってあります。

 

 

 

安全感がとぼしい

 

ここでの ″安全感のとぼしさ” とは

 

“脳が危険信号を出しつづけている”

 

ということでもあります。

 

ピンチのとき人の脳は

 

いつでも逃げたり戦ったりできるように

 

スタンバイしています。

ふつう,安全なところに逃げればこのスイッチはオフになります。

 

ところが,アタッチメント(愛着)障害のお子さんは

 

このスイッチがうまくはたらきません。

 

そのためこんなことが起きます

 

  • 信じてよい人を攻撃する
  • 安全じゃない人に近づく
  • 信じられると思うとベタベタする
  • 態度がコロコロかわる
  • 極端に遠ざかる

 

つまり,人とのちょうどよい心・からだの距離がとれないのです。

事例をいくつか紹介します。

 

 

 

 

ケース④ 信じてよい人を攻撃する

 

先生からスクールカウンセラー(SC)に紹介されたAくん。

 

カウンセリングが始まるまえから不満そうです。

 

SCが

クラスであばれちゃったみたいだね。

 

よければ,なにがあったのか教えてくれない?

 

 

すると

 

うっせー!

 

 

と反抗します。

 

SC

どうかした?

 

 

うるせーっていってんだよ!

 

と,SCをキックすると

 

部屋から出ていってしまいました。

 

 

 

 

 

 

だれだって初めて会う人を

 

信じたりはしないんじゃない?

 

 

それはそのとおりですが

 

少なくとも

 

いきなりアグレッシブなことはしませんよね。

 

これは,わたしもなんども体験したことでもあります。

 

 

ケース⑤ 大人をためす

 

またAくんはSCのところに来ました。

 

今度は,前とちがって

 

キゲンもいいのか,ニコニコしています。

 

SCも内心ほっとして話しかけます。

 

すると,Aくんはたまたま目についた

 

相談室のぬいぐるみを持ちだして

 

出ていってしまいました。

おいかけるSC。

 

しかし,大声をだしてAくんは逃げていきます。

 

どんどんテンションが上がります。

 

SCはとちゅうで追いかけるのをあきらめると

 

Aくんはもどってきて,SCに

 

 

ばーか!

 

 

と,また追いかけてこいとばかりに

 

挑発するのでした。

 

 

こういう風に,悪いことをしてみて

 

大人がどこまでガマンできるのか,自分をゆるしてくれるのか

 

テストしているのです。

 

これを“試し行動”と呼ぶことがあります。

 

 

 

ケース⑥あまりにも遠すぎる…

 

描いている絵がグロテスクなので

 

先生はSCに相談にいくようにすすめました。

 

また先生も,これからどんなふうにかかわれば良いのか

 

SCに相談することにしました。

まずCさんは,SCとふたりで会ってみることになりました。

 

Cさんは時間どおりに相談室にいきました。

 

Cさんを見つけたSCは

どうぞ

 

と笑ってむかえましたが

 

Cさんは,部屋に入ってきません。

 

SCはムリに入れようとせずに,しばらく見ていました。

 

SCがそれとなく窓の外を見ていると

 

Cさんはちょっとずつ部屋に入ってきました。

SCはわざと部屋のスミにいくと

 

Cさんは完全に部屋に入りましたが

 

SCがイスに座ると,Cさんはまた

 

部屋から出ていってしまいました。

こんな風に,心理的にも,物理的にも

 

遠すぎる距離をとる子もいます。

 

 

 

 

言葉にする力がよわい

 

アタッチメント(愛着)障害の子は

 

自分が思っていることを言葉にする力が

 

育っていないことがあります。

 

特に,自分に危険を感じたときに

 

暴力となりやすいのですが

 

このような感情のコントロールについて

 

脳との関係がとなえられています。

虐待によって脳の前のほうにある

 

前頭前野(ぜんとうぜんや) というパーツが

 

小さくなってしまう現象が起きるのです。

 

この前頭前野は,危険や恐怖をつかさどる

 

偏桃体(へんとうたい)というパーツが

 

はたらきすぎないように

 

ブレーキをかける役割があります。

 

これまでしめしてきた例でもわかるとおり

 

「話せばわかる」

 

という場面で

 

いきなり暴力をふるってしまったり

 

もしくは,人に気もちを伝える方法が

 

身についていなかったりするためです。

 

 

ADHDの子も衝動的で

 

暴力をふるいやすいってきくなぁ

 

そうきいたことがある人もいるでしょう。

 

そんなときには,ほめて伸ばす心理教育が有効なのですが

 

友田(2017)は,ADHDの子と,アタッチメント障害の子には

 

脳にはほめられると活性化する

 

線条体(せんじょうたい) と呼ばれるパーツがあります。

 

ADHDの子も,アタッチメント(愛着)障害の子も

 

この線条体のはたらきがにぶいことを見いだしています。

 

とくにアタッチメント(愛着)障害の子は

ちょっとほめたくらいでは,線条体は活性化されないといいます。

 

ですから,ADHDの子以上にアタッチメント(愛着)障害の子の

 

心理教育にはむずかしさがあるのです。

 

 

 

自信がない

 

アタッチメント障害の子は

 

おくびょうで,自信がないことが少なくありません。

 

人は安心できる経験をつみかさねることによって

 

新しいところにいっても

 

あるていど落ちついて行動することができるようになります。

 

いうなれば,こころの中に安心させてくれる人が

 

住んでいるようなものです。

その人が,不安になると自動的になぐさめてくれるのです。

 

しかし,アタッチメント(愛着)障害の子の中には

 

そういう人がいないか

 

いつも不安にさせる人が住んでいます。

 

たとえば

  • 遠足など行ったことがないところにいくとき
  • 決められていた予定が急に変わるとき
  • 教科書の新しい単元に進むとき

 

などは

 

その子にとっては怖くて

 

自信を失いやすい場面だと言われています。

 

 

予定や場所が変わると…ってのはわかるけど

 

なんで教科書で不安になるのかわかんないなぁ

 

ふつうは気にかけないかもしれませんが

 

勉強をするということは

 

新しいものが見えてくるということです。

 

世界の見え方がそれだけ広がることでもあります。

 

新しいテーマや,課題などは

 

その子にとっては次の世界が,いやおうなしに

 

せまってくる感覚なのかもしれません。

 

こんなふうに慣れない場所や課題は

 

強い不安をいだかせたり

 

自信をなくしやすいときなのです。

 

 

 

親にされたことを再現する

 

子どもがすることというのは

 

親が子どもにしていることの再現であることが少なくありません。

 

 

それはだれでも同じなのでは?

 

そのとおりです。

 

言い方をかえるなら

 

他人とどんなふうに接しているのかは

 

その子がされてきたことの鏡なのです。

アタッチメントに課題を抱えていると

 

これまでの例に出したように

  • 人に攻撃的になる
  • 人をためす
  • 気もちをおさえる
  • かんしゃくをおこしやすい

 

などが現れやすいのです。

 

そうした養育が今まさにされている可能性も高いし

 

過去に長い間,されてきたのかもしれません。

特に気をつけたいのは

 

ザンコクなことをするケースです。

 

例えば

 

  • いきなり人をなぐる
  • 動物をためらいなくなぐったり,殺したりする
  • グロテスクな描写を好む
  • グロテスクな性嗜好
  • 早熟な性知識や行為
  • 性的な加害
  • 被害にあいやすい場面に,あえて行こうとする
  • 自傷

などです。

 

 

そんなザンコクなことをするなんて、怖い子どもだ…

 

もちろん被害にあう方としては

 

たまったものではありません。

 

ひどい行動のブレーキになるのは 共感性 です。

 

共感性がもてるようになるに

 

悲しいときに「悲しかったね」

 

楽しいときには「楽しいんだね」

 

と,気もちをうけとめてもらえることが

 

必要になるのです。

 

でも共感される経験が少ないことが

 

ザンコクな行動をするりリスクを上げしてしまうのです。

 

だからこそ早めに支援をすることが大切なのです。

 

じゃあ、共感してあげればいいんだね。

 

共感はたしかにとても大切です。

 

でも共感的な対応だけでは

 

良くなりにくいのがアタッチメント障害です。

 

特に重いトラウマを経験しているような子を見つけたら

 

カウンセラーや,福祉と早くつなげる必要があります。

 

 

それでも他人に気もちをわかってもらう

 

経験があったほうがいいのでは?

 

そのとおりです。

 

共感で,すぐによくなることはなくても

 

その子が成長したときに

 

だれかに気もちをわかってもらった経験が

 

大きくなってから自分を支えるものになるはずです。

 

やっぱり,されたことが再現されるということになります。

 

 

 

まとめ

今回は

 

アタッチメント(愛着)障害の子が

 

小学生くらいのころに見られるパターンを紹介しました。

 

これで全てではないはずですが

 

よく見られるパターンですので

 

こんな様子がみられたら

 

アタッチメントに課題があって

 

スペシャルヘルプが必要なお子さんかもしれません。

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参考文献

Bitly

友田明美(2017)子どもの脳を傷つける親たち.NHK出版.

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