【やめるべき】解決をとおざける「不登校=発達障害」という決めつけ

不登校支援

こんにちは ツナカンです。

 

ふだんは心理師として

 

不登校のお子さん

 

子育てに悩む親ごさん

 

学校の先生の応援をしています。

 

不登校のお子さんを支援するのに

 

学校の先生のなかには

 

 

発達障害だから学校に来られないんだ

 

 

親ごさんのなかには

 

 

うちの子は発達障害かもしれない。だから学校が苦手なんだ

 

 

そんな風に、カンタンに考える人が少なくありません。

 

結論からいうと

 

「不登校=発達障害」ではありません。

 

 

 

たしかに発達障害がからむケースもありますが

 

たとえ

 

発達障害であることがわかったとしても

 

不登校が解決するわけではありません。

 

今回は、とくに先生に向けて

 

『不登校は発達障害じゃない』

 

というテーマで

 

不登校の子の応援のしかたについて

 

わたしなりの意見をお伝えしたいと思います。

 

もちろん、親ごさんに読んでもらっても

 

役に立つはずです。

 

ちょっとキツイと感じる表現もあるかもしれませんが

 

最後まで読んでいただければ

 

不登校の子の対応の行きづまりの原因がわかったり

 

対応のためのヒントがえられるでしょう。

 

 

 

 

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【やめるべき】解決をとおざける「不登校=発達障害」という決めつけ

 

不登校のお子さんを支援するために話をしていると

 

 

これは解決までの道のりが遠いな

 

 

と思わされるような発想をする先生がいます。

 

解決する方法だと思っていることが

 

うわすべりしていることに気づいていないからです。

 

 

この子が学校に来られないのは

 

発達にかたよりがあるからだと思うんです。

 

だから親ごさんには検査をすすめてるんです。

 

 

たしかに、不登校のお子さんのなかには

 

知覚が敏感だったり

 

そのせいで集団が苦手なお子さんもいます。

 

そういうケースでは医療的なケアや

 

合理的な配慮をえながら

 

学校に行きやすくしてあげる必要があります。

 

でも不登校になったからといって

 

知能検査や、心理検査をうけても

 

解決に結びつくとは限りません。

知能検査や心理検査は

 

その子の情報をえるのに使うだけであって

 

その次の支援をイメージできていないのであれば

 

ただ時間や、お金を使うだけになります。

 

支援ありきでの、検査 なのです。

 

この問題について、これから深ぼりしていきます。

 

 

 

 

不登校と発達障害をむすびつけやすい人の傾向

不登校になると、すぐに発達障害だと

 

うたがいを持ったり

 

なかば決めつけてしまう人には

 

どうしていいかわからない気持ちのうらがえし

 

として

 

 

わたしはバカにされている

 

 

 

とか

 

 

自分は無力だ

 

 

 

と感じている可能性があります。

 

川村ら(2004)は

軽視場面(教師を軽視するような態度 筆者加筆)では,教師の「決め付け」で対応していることになる。当然,生徒理解が不十分になるであろうし,むしろ見誤ることが多い

 

と指摘していて

 

こういう決めつけが

 

子どもを色メガネで見ることになります。

 

 

 

たしかに不登校の子には発達にかたよりがあるという指摘があります。

 

たとえば

 

鈴木ら(2017)によると

不登校児の57%が発達障害(自閉症スペクトラム)であり、AD/HDを含めると全不登校児の45%

との推算もありますし

 

加茂・東條(2010)のまとめによると

 

以下のように不登校と発達障害の割合が示されています。

 

しかし、多く見つもっても50%前後です。

 

学校や先生がするべきなのは

 

 

あの子はもうどうしようもなくて…

 

 

 

とか

 

 

親の子育てのしかたがいけないから

などと言って

 

色メガネを大きく、濃くしていくことではありません。

 

学校と家で、子どもになにをしていけるか

 

ビジョンを共有し、いっしょに子どもに働きかけていくことでしょう。

レッテルをはりたがる気持ちの裏には

 

どうしてよいのかわからない、という自分の感情を

 

自覚することが必要でしょう。

 

 

 

 

不登校と発達障害をむすびつける人のやりがちなこと

 

不登校と発達障害をむすびつけた人の多くは

  • 知能・心理検査
  • 通院
  • 少数学級
  • 心の原因さがし

 

これらをすすめたがります。

これらは否定するようなものではありませんが

 

やってみても具体策が見えないことは少なくありません。

 

なぜなら、順番をまちがえているからです。

 

まずプランをねって、行動をしてから

 

必要な検査や

 

医療・少数学級への編入を

 

すすめねばならないのに

 

 

なにかわかるかもしれないから

という理由で、上記のことを進めがちです。

 

いろいろな検査はアセスメントとして否定はしませんし

 

通院が必要なケースもたしかにあります。

 

しかし、学校と家でいっしょになにをしていくのか

 

計画も方向性も共有せずに進めたとしても

 

運が良ければ「不登校」に「発達障害」という

 

新しいラベルがふやせるていどです。

運が悪ければ新しいラベルも

 

新しい対応法も見えてこず

 

その場しのぎの対応になり

 

ひたすら時間がすぎることになります。

 

もちろん、新しいラベルがついたとしても

 

“なにをするか“は見えて来ないことも少なくありません。

 

ですから,プランと行動が最優先なのです。

 

 

 

不登校の子は少数学級に入れば解決するのか?

不登校=発達障害

 

というラベルが決まると

 

次は、「少数学級」というコースが決まります。

 

これが医療的にも、合理的な配慮としても

 

妥当なのであれば否定はできません。

 

しかし

 

 

少数学級に入れれば学校に行けるようになる

 

という思い込みのがあるならば

 

それはカンチガイの素です。

 

なぜなら、子どもが少数学級に入ることを

 

望んでいるかどうかは別だからです。

見立て、見こみとして

 

少数学級という選択肢があることは良いのですが

 

決めつけてしまうと

 

他の方法や、いろいろな子どもの表情を

 

見失ってしまうことになります。

少数学級に入ることで改善するケースと

 

少数学級に入れても解決しないケースでは

 

以下のようなちがいがあると考えています。

 

解決する

  • 刺激に過敏なケース
  • 学力やスキルが身につくケース

 

良くならない

  • 生活が乱れている
  • 学校を嫌いになってしまっている

 

少数学級では通常学級に比べれば

 

自由度があるし、刺激を減らすこともできます。

 

その分、その子に合わせた応援ができます。

 

しかし、そもそも生活が乱れていたり

 

学校が嫌いすぎるならば

 

発達障害かどうかは関係がないのです。

 

ですから、発達障害だときめつけて

 

不登校の対応をすることは

 

解決にはつながりません。

 

 

 

きめつける前にできること

 

ここまで、不登校を発達障害だと決めつけると

 

解決を遠ざけてしまうことについて

 

お知らせしてきました。

 

かさねて言いますが

 

いろいろな検査も、医療的なケアも

 

必要性がないということではありません。

 

優先すべきことがほかにあるということです。

 

その優先すべきことについて、これからお知らせします。

 

それはこれらです。

 

  • 生活リズムをつくる
  • 学校にいくきっかけをつくる
  • 少しずつ学校にいられる時間をのばす
  • 少しずつ勉強をする

 

 

 

生活リズムをつくる

 

睡眠時間や、食事のタイミングなど

 

まずは生理的なリズムをととのえます。

 

心理学では

 

マズローの5段階の欲求階層説

 

というものがあります。

 

それによると、最初に満たす必要があるのは 生理的欲求 です。

 

最近ではネット依存から

 

生理的なリズムが大きく乱れている子が少なくありません。

 

とくに不登校になり、学校に行くことが減ると

 

日中は家でネット漬け。

 

外にも出ないので、昼と夜のサイクルが乱れて

 

寝つきも悪くなり

 

さらにゲームをする…

 

という、悪循環の子も少なくありません。

 

 

たかだかネット(ゲーム)でしょう?

 

と甘く見ているかもしれませんが

 

わたしの目からすれば

 

ネットによってもっとも危ないところが侵されているように見えます。

 

ですから、なにより先に生活リズムのたてなおしが必要です。

 

そもそもゲームは、発達障害かどうかに関係なく

 

のめりこませるシステムができています。

ヒトとしての生態がととのわないのに

 

発達障害だと決めつけてかかることは

 

的はずれな支援につながるのです。

 

 

 

 

学校にいくきっかけをつくる

 

生活のリズムがあるていどととのったら

 

学校に行くきっかけを作ります。

不登校の子の多くは、学校に行けないこと

 

行かないことに後ろめたさを感じています。

 

しかし、登校することはできません。

 

ですから、短時間でも良いので

 

まず学校に行くことからはじめてみます。

その際、ゲーム依存はなくなっていないでしょう。

 

しかし、少しずつ学校に行く時間が増えれば

 

自然にゲームの依存度はへっていきますから

 

まずは学校にいくきっかけを作ることが大切です。

 

例外として

 

学校を成長のツールとして使わない積極的不登校もあります。

 

しかし、本当に前向きに不登校になっているのか

 

強がってそう言っているのかは

 

よく話し合ってみないとわかりません。

 

どのような将来計画があるのか話し合います。

 

 

 

少しずつ学校にいられる時間をのばす

 

次のステップは学校にいられる時間を

 

少しずつ伸ばしていくことです。

そのためには居場所が必要です。

 

居場所は学校のなかにこだわる必要はありません。

 

たとえば適応指導教室やフリースクールを使うこともよいでしょう。

 

それとともに、先生が友だち関係をマネジメントする必要があります。

 

なぜなら、子どもが学校に来るようになる理由は

 

子ども同士のむすびつきによるところが多いからです。

しかし、不登校になってしまった子は結びつきが

 

うすくなってしまっているため教室に入れないのです。

 

ですから、学校の外か別室を拠点にしながら

 

クラスメイトとの接点をつくることが必要です。

 

そうすることで少しずつ学校にいる時間が増えたり

 

教室に入れるようになったりします。

 

 

 

 

少しずつ勉強をする

次のステップは勉強をすることです。

 

勉強が自信をもつことにつながるし

 

友だちができなくても勉強が

 

登校のモチベーションになる子もいます。

 

ときどき不登校であっても勉強ができる子はいるのですが

 

わたしの経験のなかではめったにありません。

 

そして多くのケースで

 

学校に行かなくなったことで

 

勉強のペースがスローになっていたり

 

しなくなってしまっていたりします。

 

仮に勉強をしていたとしても、わからないところを

 

そのままにしてしまっていたり

 

理解できていないのに、できているつもりになっています。

ですから、多くのケースでは

 

居場所をどこかに作ってから

 

勉強する時間を少しずつ増やしていきます。

 

友だち作りと勉強が同時進行であることもあります。

 

いずれにしても、勉強は未来の選択肢を増やしますので

 

できるようになって損することはありません。

 

 

 

まとめ

 

今回は

 

「不登校=発達障害」とカンタンに考えてしまうことは

 

キケンであることについてお伝えしました。

 

たしかに不登校のカゲに、発達障害があることもあります。

 

しかし、たしかなデータというよりも

 

それぞれの主観的な情報にもとづいたものです。

 

それらは多くても約半数くらいの人数です。

 

カンタンにきめつけてしまうのではなく

 

その子の情報をしっかりと集めて

 

その子が置かれている環境をふくめて

 

自分の立場からなにができるのか謙虚に考えたいものです。

 

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引用文献

・加茂聡・東條吉邦(2010)発達障害と不登校の関連と支援に関する現状と展望.茨城大学教育学部紀要(教育科学)59 号(2010), 137-160

・鈴木菜生・岡山亜貴恵・大日向純子・佐々木彰・松本直也・黒田真実・荒木章子・高橋悟・東寛(2017)不登校と発達障害:不登校児の背景と転帰に関する検討.脳と発達;49:255-9

・河村夏代・鈴木啓嗣・岩井圭司(2004)教師に生ずる感情 と指導の関係 についての研究
-中学校教師を対象として-教育心理学研究,52,1-11

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