「学校を休んでいい」だけじゃすまない,終わる今年の夏休み

子育て

こんにちは ツナカン です。

公認心理師として

不登校のお子さんや

子育てに悩む親御さん

学校の先生方

の応援をしています。

 

夏休みの終わりが近づいています。

昨年度の今頃,こんな動画が流行りました。

夏休み明けの時期に子どもの自殺が増える

ということから,啓発としてこうした動画が

YouTube内でけっこう出回りました。

 

実際,厚生労働省のデータでも

子どもの自殺率が長期休み明けに高まる ことを

示しています。

 

さらに今年は例年とは大きく違うことがあります。

読者の方もおそらくわかる通り

新型コロナの影響です。

 

長期休み明けと,コロナのダブルパンチでどうなっちゃうの!?

そんな心配をされる方もいるでしょう。

 

私自身も,警戒感を持って見ています。

 

そのためには

子どもを守るための情報

を知っておくことが大切です。

 

今回は

「学校に行きたくないなら休んでいいんだよ」だけではすまない,コロナ禍中の長期休み明けの子どもへの影響

について私なりの考えをお伝えします。

 

この記事を読んでもらうメリット

  • 学校を休むだけではすまない理由
  • 今年の“夏休み明け”の予防策&対策

についてのヒントを得ることができるでしょう。

 

 

 

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「学校を休んでいい」だけじゃすまない,終わる今年の夏休み

夏休みにはいったと思ったら
もう終わりか…
いっそ夏休みがもっと伸びればいいのに…

 

ここに,そう思っているお子さんがいます。

 

何かあるとすぐにスマホに手を伸ばし

画面に映っているものに夢中になることで

何かを忘れようとしているかのようです。

 

しかし,そんなことを親に相談しようともしません。

親御さんはそれを見て心配しつつも

 

気が立っているようだし聞いてもちゃんと答えてくれないし

どうしてあげたらいいの…?

 

結局どうしていいのかわからずに

夏休みが過ぎようとしています。

 

 

 

長期休み明けの子どもの心理的不安定

お子さんあんな状態になった理由は何だったのでしょうか。

 

実は将来のことを心配していたのです。

1学期中にあった友だちとの嫌なできごとを思い出し

不安になってスマホをむさぼるように見ていたのです。

 

大変悲しいことなのですが,最初にあげたように

長期休み明けに子どもの自殺率が高まることが指摘されています。

そして,新型コロナの影響がこの傾向にも拍車をかけているのです。

 

 

子どもの自殺の理由

学校に関する理由としては最も多い理由は

学業不振 >進路 >友達との関係 >入試

が具体的な理由として挙げられています。

令和2年 児童生徒の自殺者数に関する基礎資料集

 

しかし気になるのは,「その他」 の理由です。

“友だちとの関係“ と同じくらいの “その他” があるということは

分類できないか,理由がわかっていないということかもしれません。

 

 

 

次に,家庭に関することについては

親子関係の不和 > しつけ・叱責 > その他の親子関係の不和

が主な理由としてあげられています。

 

令和2年 児童生徒の自殺者数に関する基礎資料集

 

親子の仲が良いことが大切であることは

いうまでもありません。

ただ,ここでも新型コロナによる自粛が

家族関係にも影響を及ぼしている可能性があります。

 

 

子どもの自殺率が高まる時期

 

文部科学省の調査によると

1年のうちで、だいたい8~9月に

子どもの自殺率が高まるという見解を示しています。

文部科学省(2021)コロナ禍における児童生徒の自殺等に関する現状について

 

発表されているデータを見ると

ゴールデンウイークが開けた6月

夏休みの終わり頃の8~9月頃から

確かに上がっているように見えます。

ただし,これは毎年の傾向とは言えなさそうです。

 

 

学校で何らかのストレスフルなできごとがあり

それを夏休みに持ちこしているから

夏休みが終わる頃にふき出すのかもしれません。

 

そして,今はスマホを皆が持っている時代です。

そのストレスは家にいても持ち込まれます。

その分,よりストレスは高まることになります。

 

後述しますが,令和2年度には大幅に子どもの自殺が増えています。

新型コロナの影響で学校に行けなかったことが

親子関係にも悪い影響を及ぼしたと考えられます。

 

これらから

子どもが追い詰められていく

いくつかのパターンが考えられます。

例えば

  • 友だちとの関係がこじれたが家族のフォローがない
  • 進路や学業について家族ともめて追いつめられる
  • 学校で何らかのトラブルがあったが相談できていない
  • 在宅時間が伸びて家族とトラブルが増える
  • 友だちとの問題が閉鎖的なネット空間で長期休み中も深刻化している

などです。

 

いずれにしても,子どもが強い孤独感を感じていることが想像できます。

 

 

 

新型コロナの影響

最初にあげましたが

令和2年度の緊急措置により通常にはない

長い春休み,その後に短めの夏休みとなりました。

そして,子どもの自殺数が大幅に増えたという

ショッキングなデータが出されています。

文部科学省(2021)コロナ禍における児童生徒の自殺等に関する現状について

 

その数,なんと100人もの大幅増です。

 

先ほどお示しした令和2年度のデータだけを見る限りでは

特別措置による春,夏,冬の休みの時期と

死亡者数が増える時期が一致しています。

 

 

また別のデータによると

  • 友だちと遊ぶ頻度
  • 学校での生活や活動の充実
  • 規則正しい生活
  • 勉強への集中
  • 精神的な安定

の項目に分けてみたところ

どの項目でも

緊急の休みが長期化するほど悪影響が出る

ことが示されています。

 

日本財団・三菱 UFJ リ サーチ&コンサルティング調査

 

このように新型コロナの影響は

確実に子どもたちの生活に影響を及ぼしているのです。

このブログでも私の感じることを記事にしていますので

よければご覧ください。

 

 

2学期が始まる前にしておきたいこと

今年度の2学期はすでに緊急事態宣言を出されている都道府県もあり

昨年度と変わらないくらい不確定な要素が多いことが予想されます。

 

こうして徐々に新型コロナの影響が目に見える形で

わかるようにこそなってきていますが

私のように,ある程度の子どもと関わってきた経験がある心理職でも

読めない点が多いのが事実です。

 

しかし,現時点でいくつか提案できることもあります。

それが以下のようなものです。

  • 「いつでも話してよい」という姿勢を示す
  • 相談できる場所を見つけておく
  • 出遅れてもいつでもやり直せる
  • 親自身が落ち着ける方法を知る
  • 子どもと適度な距離をとる

 

① 「いつでも話していいよ」

本当に落ち込んでいる時や

悩みのさなかにいる時には

なかなか人に相談する気になれないものです。

相談するにも時間が必要なのです。

 

ですから

心配な点を見つけたら

少し声をかけてみて

反応が薄いようならば

今は話す気になれないになれないなら
話せるようになるまで待っているから
いつでも声をかけてね。

と時間をおいてあげましょう。

 

 

② 相談できる場所を見つけておく

子どもからうまく話を聞けたとしても

専門的なケアが必要なこともあります。

そのためには速やかに連絡できた方が良いはずです。

ですから,この後紹介するような電話相談などを知っておけば

一緒に考えてくれることでしょう。

 

 

③ いつでもやり直せる

文部科学省のデータの示す通りに考えるのであれば

進路は子どもにとって大きな悩みの一つです。

 

それをフォローする方法は増えました。

例えば,オンラインでの学習があります。

他に,学校に行けなければ適応指導教室もあります。

高校には通信制高校もあります。

出遅れてもやり直せる方法があることを知っておけば

それだけで,子どもを見守る時の安心材料になります。

 

 

④ 親が落ちく

子どもが親に話をできたからと言って

親以外の人に話ができないということは多いです。

子どもの話を聞いて,すぐに専門機関につなごうとすることで

かえって子どもの改善意欲が下がることがあります。

その時は,親御さん自身が先に専門機関に相談に行きましょう。

そこで相談しながら一緒に考えることが

親御さんの安心になり

それがお子さんの安定にもつながるのです。

 

 

⑤ 子どもといい距離をとる

親御さんがよかれと思ってしていることが

お子さんの行動を改善するうえで

必ずしも機能的でないこともあります。

その時には,物理的にも時間的にも距離をとって

どのような方法が良いのか考える場所や時間が必要です。

その時に相談機関は役に立ちます。

 

 

 

心配な時に相談できるところを紹介

長期休みの終わるちょうど今頃

お子さんに心配な点が見つかったときの相談先を

段階別にご紹介します。

 

 

① いつでも

文部科学省で以下の電話相談が設置されています。

気になることがあったらいつでも相談しましょう。

お子さんがかけても良い場所です。

お子さんにさりげなく勧めてみるのも良いかもしれません。

 

 

② 学校が始まってから

まず学校に相談しましょう。

その後,教育支援センター(適応指導教室)などを

紹介されることもあるかもしれません。

また,学校はさまざまな相談機関とつながる窓口になります。

学校に行けなかったとしても定期的に情報交換をしましょう。

担任の先生や,部分登校などによって

回復することもあります。

私の記事でも適応指導教室や部分登校につなげる方法は

記事にしておきますので

以下のリンクを参考にしてみてください。

 

③ 中学校を卒業してから

小学校~中学校までは学校が相談の窓口になってくれます。

しかし,残念なことに卒業してしまった場合は

どこに相談すればよいのでしょうか。

もしお子さんが行動に移せるのであれば

フリースクールを利用するのも良いでしょう。

また,通信制高校でも親身になってくれる高校もあります。

 

 

気を付けてほしい,やりがちなこと

毎日スマホにかじりつくように過ごして

夏休みの終わりを迎えようとしている子ども…

 

家族はいろいろと気になって

夏休みの宿題は大丈夫なの?
どうかしたの?

などと,しつこく声をかけてみますが

子どもは上の空です。

 

サボっているようにも見えるし

あまりにらちが明かないので

いい加減にしなさい!

と怒ってしまいます。

 

子どもはますます口も心も閉ざしてしまいました。

 

そして始業式に近づくほど

スマホへのこだわりはより激しくなっていき

朝は起きられなくなり

夜も眠れなくなってしまいました。

 

実は子どもは1学期に解決できなかった悩みを忘れるために

あるいは,解決するために夢中になっていたのです。

 

しかし,そんな子どもの状況を知ることをできませんでした。

 

 

関わり方を変えてみる

夏休みの終わりが近づいてきました。

子どもは食事の時間以外をスマホに夢中です。

楽しんでいるというより

何かに追われているかのようにも見えます。

そこで,

ちょっと話があるんだけど~分になったら話せる?

と話す時間を約束したのです。

 

約束の時間になってもスマホは手放せないようです。

そこで

 

大切な話なので,ちょっとスマホを置いて話し合いたいんだ。

と伝えると,渋々ながらスマホを置いて話す姿勢ができました。

それから

 

もうすぐ夏休みが終わるね。

この時期は1年の中でも心配な時期なんだ。

最近,スマホで何かしているようだし,

もしかしたら一人で何かを解決しようとしているのかと思って心配してるんだ。

力になれると思うから,よければ話してみない?

 

と切り出しました。

 

すると

別にない

と答えて自室に戻ろうとしました。

 

じゃあ,困っている時はいつでも相談して。待ってるよ。

と伝えて様子を見ることにしました。

 

そして,夏休みが終わる2日前になって

学校に行きたくない

と子どもから話してくれたのでした。

 

その理由は友だちのことや,進路のことなど

たくさんの悩みが複雑に絡んでいるのでした。

 

そこで,学校や専門機関に相談することを提案したところ

子どもは,しり込みをしているようでしたが

まずは親御さんが相談してみることを伝えると

わかった。

と一緒に考えてみる気になったようでした。

 

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こんなにうまくいくの!?

と思うかもしれませんが

少なくとも,親子関係を悪化させて

子どもを追い詰めるようなことにならず

相談につなげることはしやすくなるはずです。

実際には,学校に行きたくない気持ちを尊重して

放課後や別室登校を提案してみることも

加える必要もあるでしょう。

 

 

 

まとめ

夏休み明けには,例年不登校が増えます。

それに加えて新型コロナの影響は

単に「学校に行かなければ大丈夫」という問題ではなくなっています。

 

日本中で混乱は続いていますが

お子さんの将来について

一緒に考える人や場所はいます。

結論の見えない問題を考え続けることが

求められている時代なのかもしれません。

 

ご意見やご質問は以下までどうぞ。
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