こんにちは ツナカンです。
ふだんは心理師として
不登校のお子さん
子育てに悩む親ごさん
学校の先生の応援をしています。
悩みがあって自分では解決できないんですが
なんだか、カウンセリングって心のなかをのぞかれる気がして
怖いんです…
カウンセリングって敷居が高いんです。
こんな風に言われることは少なくありません。
わたしも、初めてカウンセリングに行ってみたとき
すごくドキドキしたことを今でも覚えています。
最初はただ、ばくぜんと怖かったのですが
それをのりこえて何度かかよってみるうちに
「心のなかをのぞかれるんじゃないか…」
「知られたくないことを悟られてしまうんじゃないか…。」
そんな不安だったことがわかってきました。
実際には、そんなこととはちがっていました。
今回は
![](https://www.tsunaaruki.com/wp-content/uploads/2020/10/pose_atama_kakaeru_woman-e1602998061446.png)
カウンセリングに行ってみたいけど、なんだか不安
という人に向けて
カウンセラーがカウンセリングでしていること
について解説します。
今回の記事を読んでもらえれば
カウンセリングで話をすることで
どんなことをしているのかがわかり
迷っている人の背中を押してくれるでしょう。
カウンセラーに相談することで
今までできなかったと思っていた
新しいことにチャレンジしたり
新しいものの見え方ができたりすることにもつながります。
- カウンセリングは「抽象↔具体」のくり返し
- 抽象は冷たく感じることもある
- 「抽象↔具体」のスムーズさがカウンセラーの腕前
【実はシンプル】カウンセラーがカウンセリングでしてること
カウンセラーがカウンセリングの中でしていることを
一言で表現するならば
具体(ぐたい)と抽象(ちゅうしょう)の往復
です。
具体とは
- それぞれにちがっていて
- 五感で感じられる
そんなものです。一方、
抽象とは
- あるていどのまとまりがあって
- 多くの人や物にあてはまり
- 五感で感じられず
- 二人以上の関係性や視点
があることです。
なぜなら,悩んでいる人は
それぞれの悩みにつかってしまっていて
そこから外を見ることができない状態です。
そこをカウンセラーが、いろいろな見方を示したり
提案したりすることでちょっとはなれたところから
自分自身のコンディションや悩みを
見ることができるようになるからです。
悩んでいる状態をレベルで分けてみましょう
-
友だちからメールで悪口言われて、落ちこんじゃって宿題が手につかなかった。考え込んでいるうちにイヤになったから『もういいや!』って思って、ゲームしたりしてた。それでもしばらくイライラしててむしゃくしゃしてた。
-
なんだか気分が落ちこんだので、気分転換にいろいろとやってみました。
-
自分が落ちこむのを感じたので、“落ちこみ”がどうなるのかしばらく観察してみました。
1は
- 何があって
- どんな気持ちで
- どんな感覚だったのか
時間の流れもわかりやすいかもしれませんが
このままできごとが話されたとしても
新しい道が見つかるでしょうか…?
続けていたら「次はどうした」という話しかできなくなり
へとへとになるまでしゃべって、ネタがなくなれば終わりです。
グチがいわゆるこれになります。
2は何をしたのか具体性には欠けますが、
話はコンパクトになり
そのまま次の話題にうつることもできるし
もっとほりさげることもできます。
道が2つはできることになります。
こういう話し方であれば
ちがう気分転換の方法も提案できそうです。
3には二つのポイントがあります。
- 表現が抽象的(わかりにくい・不明点がある)
- 悩みそのものとの距離感
表現が抽象的なので 「もう少しくわしく話して」 と言いたくなりますが
話はより多様に広げることができます。
それから、自分自身を少し離れたところから観察しています。
これをメタ認知(視点)と呼びますが
自分の思考も、メタ認知(視点)で見ることができると
感傷にひたることもできるし、気分転換もできるし
感情にひたりきらずに流れるままにしておくこともできる…
より選択の幅も広がるのです。
カウンセリングにもいろいろな手法がありますが
基本的には①から③までのプロセスを行ったり来たりすることで
相談にくる人の
- 自分の状態をメタ視点で見る
- 自分の過去~将来をメタ視点で見る
- 行動のレパートリー
これらを増やすことがねらいの一つです。
そんなやりとりの中で
カウンセラーを信頼できるようになったり
自分に自信がもてるようになったり
傷つきから立ちなおれるようになったり
するのだと考えています。
ふだんの会話のなかでも使えるカウンセリングのテクニック
よくふだんの会話のなかでも
カウンセリングのテクニックが使えると言いますが
すると、数えきれないほどのカウンセリングのハウツーを
覚えたくなってしまいます。
でもそれは『専門家でなければムリ』どころか
カウンセラーであっても
日常生活のなかでカウンセリングのハウツーを
使ってみようとは思わないはずです。
でも「抽象↔具体」という切り口で見ると
もっとシンプルになり、生活の中で使いやすくなります。
なぜなら、「抽象↔具体」と考えることこそ抽象化であり
抽象化はよりシンプルに、応用しやすくするための方法だからです。
こんな話を聞いたとしましょう。
![](https://www.tsunaaruki.com/wp-content/uploads/2021/03/タイトルなし-5.jpg)
子どもが『学校行きたくない』といい始めました。
うのみにしてよいのでしょうか?
新年度になってクラスもかわって
友だち関係も変わって
学校に行きたくないんだと思いますが
どこまで信じてよいのでしょうか?
ただのわがままなのでしょうか
それとも不登校になりかけているのでしょうか。
本当のワケはほかにあって
なかなか親には話しにくいものなのでしょうか。
本当に追いつめられるまで
親には話さないなんてことをきいたこともあります…。
これを超抽象化すると
![](https://www.tsunaaruki.com/wp-content/uploads/2021/06/-e1623670554851.jpg)
お子さんが学校に行きしぶっていて
心配なんですね
と返事をすることになります。
親ごさんの 心配 を切り口にして抽象化したのです。
![](https://www.tsunaaruki.com/wp-content/uploads/2020/12/-e1608368838828.jpg)
なんだか冷たくない!?
そう思うかもしれませんが
話を聞き入れていることを相手に伝えたいし
相手に、もっと話してもらうこともできます。
ちなみに、もし抽象化しないとこんな返事になります。
![](https://www.tsunaaruki.com/wp-content/uploads/2021/06/-e1623670554851.jpg)
お子さんの『学校行きたくない』という話を聞いて
うのみにしてよいのか迷っているんですね。
お母さんは『新年度になってクラスも友だち関係も変わったから
学校に行きたくないんだろう』と考えていて
お子さんが、ただわがままを言っているのかとか
それとも不登校になりかけているのではないかとか
本当の理由は他にあるのに
親には話さないのでガマンしているのではないかとか…。
そんな風にいろいろと考えてしまう…。
さらに『子どもは親に本当に追いつめられるまで話してくれない』
なんて話をきいたものだから
余計に不安になってしまった…
そういうことなんでしょうか?
いかがでしょうか。
![](https://www.tsunaaruki.com/wp-content/uploads/2021/03/-2-e1615446971688.jpg)
こっちの方がていねいで、いい
という人もいるかもしれません。
もちろん、これに近いような返答をすることもありますが
毎回こんな応答をしていたら
いくら時間があってもたりませんし
バカにされていると思うかもしれませんね。
だからこまかな内容を抽象化して相手にかえすことは
日常のなかでも使えるテクニックなのです。
最初はむずかしいかもしれませんが
失敗しながら練習するうちにうまくなります。
カウンセラーもそうやって話をきくテクニックを
練習してきているのです。
抽象化にはデメリットもある
先ほどの例にもあるように
抽象化すると冷たいメージがつきまといます。
話はちょっとズレますが、
研究者は抽象化をつきつめるのが仕事です。
だから研究している人がクールだったり
ちょっとふつうじゃないイメージだったりするのでしょう。
カウンセラーもちょっとミステリアスに見えたり
冷たく感じられるような気がするのは
それと似たようなところがあるからでしょう。
でもカウンセラーは、研究者と比べると
冷たくなりすぎないていどに抽象化し
悩みを整理するきっかけを作ろうとします。
カウンセラーの腕の見きわめポイント
この「抽象↔具体」の切り口で見ると
カウンセラーの腕前を見ることができます。
(あまり他人のことは言えないのですが…)
- 抽象化のレパートリーの多さ
- 抽象度の幅の広さ
- 具体↔抽象がスムーズ
カウンセラーには流派があります。
その流派は、心の切り口つまり抽象化のやり方
と考えてよいでしょう。
一つの流派にこだわると、切り口は一つしかないことになります。
いろいろな流派をはば広く知っていると
一つの方法でゆきづまったときには
別の方法で悩みを抽象化するようにうながせます。
また、悩んでいる人の話を抽象化ばかりしていてもダメです。
具体的なレベルに落としこむことも大切です。
しかもそれは、悩んでいる人のペースに合わせることが必要です。
このように「抽象↔具体」がスムーズであることも
カウンセラーの腕前といえるでしょう。
これは、相談しているうちになんとなくわかるはずです。
まとめ
今回は、カウンセリングに行くかどうか迷っている方に向けて
カウンセリングで、カウンセラーがしていることを
「抽象↔具体」という切り口でお伝えしました。
もしかしたら、この内容そのものが抽象的だと感じて
うまく伝わらない方もいたかもしれません。
とにかく、カウンセリングは怖いものではありません。
迷っているなら、体験してみることをおススメします。
参考文献
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