こんにちは ツナカンです。
ふだんは心理師として
不登校をはじめとする
子育てに関する相談に応じています。
不登校の理由にはいろいろなものがありますが
発達障害などの障害のせいで
不登校になってしまうケースがあります。
しかし不登校や登校しぶりであっても
障害がみとめられて特別なコーディネートをされたクラスで
勉強できるようになる(在籍)ことで
学校に行けるようになることもあります。
こうしたことからも
特別支援学級や通級指導教室など、
障害が重い子の居場所が
学校にもあることを知っておくことは
とても大切なことです。
この記事を読んでもらうことで
保健室や相談室以外にもある
不登校(登校しぶり)の子の居場所
について知ることができます。
その不登校、障害のせいかも
子どもが学校に行きたがらない時期があったけど
クラスを少数学級にしてもらったら
また学校に行けるようになったんです。
学校にいきしぶり始めたときには
『勉強はわからないし
友だちもいない。
学校はぜんぜん面白くない。』
くわしく話を聞こうにも、そう言うばかりだったんです。
先生と相談してみたら
授業中は座ってはいるけど
なにかいじって時間をつぶしていたり
クラスメイトとも話がかみあってなかったりしていたようなんです。
そこで教育支援センターをすすめられました。
何度か相談して知能検査をうけてみることになりました。
そうしたら、発達にかたよりがあるようだとわかりました。
それから病院に行ってみたら、ADHDだと診断されました。
ADHDって多動だと思ってたけど
自力で衝動性をコントロールしているように見える子もいるらしくて
うちの子もそうだったんだってわかりました。
それから本人とも話をして少数学級にすることにしました。
前から少ない人数で
勉強をみてくれるクラスがあることは知っていたのですが
“特別な子”がいるクラスのイメージがあったんです。
だから、なんというか、抵抗があって…。
でも移ってみたら、先生はうちの子にあわせて教えてくれるし
『勉強がわかりやすくなった!』
と喜んでいます。
おくれていた勉強もとりもどせるようになってきて
学校にも行けるようになりました。
少数学級のことを知れてよかったです!
こんな風に,クラスを変えたら
学校にふつうどおりに行けるようになる子もいるのです。
障害の重い子におススメ学校の居場所
障害の重い子でも
学校にいられるようにするためのクラスには
以下のようなものがあります。
通常の学級での対応
平成24年に文科省がおこなった調査では
学級担任などの回答によると(※医師の判断によるものではない)
小学校・中学校で学習障害、注意欠陥多動性障害
高度自閉症等の発達障害の可能性がある児童生徒は
6.5%ほどいるのではないか、という結果がでています。
小学校、中学校、高等学校等で障害があっても
お子さんの特性に気を配ってもらいながら
重い障害が認められない子と同じように勉強をする方法もあります。
しかし学校によっては
クラスで特別な対応をすることが
むずかしいこともあります。
通級による指導
小学校、中学校、高等学校などで
ふつうクラスに籍があり、授業にはおおむね参加できるものの
一部の教科で特別なサポートを必要とするお子さんに対して
障害に応じた指導を行う方法です。
ふだんは通常のクラスですごし
特に苦手な教科では、少数学級(特別支援学級)にうつって
こまかく勉強を教わったりソーシャルスキルを教わったりします。
【対象障害種】
言語障害者
自閉症者
情緒障害者
弱視者
難聴者
学習障害者
注意欠陥多動性障害者
肢体不自由者
病弱者及び身体虚弱者
特別支援学級
小学校、中学校などで以下のような障害のあるお子さんが
学習または生活する上でのハードルを克服するために設置される学級です。
授業の最初から最後まで座らせて
勉強したりするのではなく
時間や勉強の内容もそれぞれに合わせて見てもらえます。
そのようなお子さんにとっては安心して勉強できるので
さらに成績がのびることもあります。
【対象障害種】
知的障害者
肢体不自由者
病弱者及び身体虚弱者
弱視者
難聴者
言語障害者
自閉症者・情緒障害者
特別支援学校
障害のあるお子さんについて
幼稚園、小学校、中学校または高等学校に準ずるような教育をし
さらに、障害のせいで学習上または生活する上で生じるハードルを克服して
自立を図るために必要な知識や技能を学ぶための学校です。
【対象障害種】
視覚障害者
聴覚障害者
知的障害者
肢体不自由者又は病弱者(身体虚弱者を含む)
少人数クラスの基準
障害が重いと認められる子が学びやすくするために
少ない人数でクラスを編制して
特別に工夫された方法で指導や支援をしています。
そのためには先生の人数も大切です。
障害に応じた基準は以下の通りです。
小・中学校等の通級
児童生徒13人につき1人の教諭が配置される
特別支援学級
1学級の児童生徒の数の基準は8人
特別支援学校の小学部及び中学部
1学級の児童生徒の数の基準は6人
特別支援学校高等部
1学級の生徒の数の基準は8人
障害を二つ以上併せ持つ児童生徒
1学級の児童生徒数の基準は3人
教育委員会が教員の配置について決定しています。
どうやったら入れるの?
どの学級がお子さんにふさわしいのかは教育委員会が決めます。
その際
- 障害がどんな状態になっているか
- 勉強する上で必要な支援の中身
- 勉強を教えるための学校側の体制
- 本人・保護者の意見
- 教育学・医学・心理学等の専門家の意見
などをふまえた色々なポイントをふまえて決められます。
手順としては
- 保護者から学校に相談(校長)
- 教育支援センターや病院に相談(知能検査などをうける)
- 入級審査会にて検討(教育委員会)
- 在籍が決まる
このような流れになります。
なお、入学審査会は年に2~3回くらいなので
その時期を逃してしまうと少数学級にかえてもらうことはできなくなります。
審査はきびしいの?
という心配もあるかもしれませんが
わたしの知りうるところでは
保護者と本人からの希望、それから客観的な情報や診断があれば
おおむね審査は通っているようです。
障害のある子供の学びの場
この章はちょっとむずかしい話になりますので
興味がなければ読みとばしてください。
文部科学省では
障害者の権利に関する条約に基づく
「インクルーシブ教育システムの理念の実現」
をめざしています。
内容は
②障害のある子どもの自立と社会参加のために
- 通常の学級
- 通級による指導
- 特別支援学級
- 特別支援学校
で連続性のある多様な学びの場を整備して
一人一人の教育的ニーズに最も的確に応える指導の提供
をかかげています。
インクルーシブ教育システム
インクルーシブ教育とは
人間の多様性の尊重等の強化
をめざすものです。
- 目的:障害者が精神的及び身体的な機能等を最大限度まで発達させ、自由な社会に効果的に参加することを可能とする
- 障害のある者と障害のない者が共に学ぶ仕組み
- 障害のある者が一般的な教育制度から排除されない
- 自己の生活する地域において初等中等教育の機会が与えられること
- 個人に必要な「合理的配慮」が提供される等が必要とされている。
(中教審初中分科会報告平成24年7月より)
※ 障害者権利条約にもとづく
障害の重い子とそうでない子がいっしょにすごす社会へ
文部科学省は、障害のありなしにかかわらず
だれもがお互いに大切にし合える社会になることを目指しています。
幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校等で
障害のある子と障害のない子が、地域の障害のある人とがふれあい
いっしょに活動したり勉強したりすることで
障害のある子にとっても、障害のない子にとっても
経験を深めたり、社会性をやしなったり
豊かな人間性を育てて、お互いを尊重しあう大切さを学ぶ機会にするための
大きな意義があると唱えています。
また学校を卒業した後でも、
障害のある子にとっては、いろいろな人と助け合って生きていく力になり
前向きに社会に参加できるようになり
障害のない子にとっては、障害のある人への抵抗感をへらし
自分から支援をしたり、いろいろな人がいることを理解して
障害のある人と支え合う意識を作ることにつながると考えています。
学習指導要領
学習指導要領とは,学校の先生たちのバイブルのようなもので
学校を運営するための基準となるものです。
そこには
があげられています。
障害の傾向が強い子と、そうでない子が
交流したり、いっしょに学ぶことで
-
触れ合いを通して豊かな人間性を育む
-
一定以上の学力を身につけてもらう
の二つをワンセットにして進めようとするものです。
どのようなことをするのか
では、どのようなことを実際にするのかというと
・文通や作品の交換
・ネットを使ったコミュニケーション
こういうやりとりを通して学校全体を活性化して
子どもたちに幅広い体験をしてもらい
視野を広げてもらうことが期待されています。
こうして未来の社会をになう子どもたちの「心のバリアフリー」を育みます。
またそんな子どもたちを様子を通して、親や活動に関わる大人が
障害者について理解を深めていくきっかけになるでしょう。
こうしたサイクルができることで
社会全体の意識が変わるのを期待されているのです。
まとめ
今回は障害が重い子の学校の居場所について
広く浅く見てみました。
少数学級ではそれぞれの特徴や事情にあわせて
ある程度オーダーメイドで見てもらえます。
今回は授業の中身については触れられませんでしたが
別の記事で紹介していきたいと思います。
Comments