こんにちは ツナカンです。
ふだんは心理師として
不登校のお子さん
子育てに悩む親ごさん
学校の先生の応援をしています。
今回は
スクールカウンセラーが岐路に立たされている
という話をします。
スクールカウンセラーって
連携が必要なのに
情報を流してくれないんだよな。
たまにしか来ないし、何してるかわかんないし
ぶっちゃけ役に立たない。
という先生や
時間を作って相談にきたのに
解決策をおしえてくれるわけでもないし
ただ話を聞いてくれるだけ。
そういう親ごさんや
生徒の意見は前からあったのです。
20年以上前になりますが
わたしがスクールカウンセラーをしていたとき
そんな風に思われてるんだろうなぁ…
と、思い当たるフシはあるし反省しかでてきません。
そんなスクールカウンセラーに
もしかすると、数年後にはメスが入るかもしれない のです。
今回の記事を読んでもらえると
- スクールカウンセラーが抱えている問題
- スクールカウンセリングのこれから(予測)
- これからスクールカウンセラーになろうとするならどうするべきか
について、私見をまじえてお伝えします。
- SCは使いにくい
- SCの勤務時間は減っている
- SCはカウンセリングの効果を説明・示すか、働く場所をかえる必要がある
【ピンチ!?】これからのスクールカウンセラーに必要なこと4つ
別の記事でも紹介していますが
スクールカウンセラーは
- 公認心理師
- 臨床心理士
が中心となって担っています。
なり方についてはこちらの記事に詳細をあずけます。
スクールカウンセラーに寄せられる意見
スクールカウンセラーに寄せられる意見は以下のようなものです。
- 使いにくい
- 効果がはっきりしない
- 給料が高い
なぜそうなったのか
それは、“カウンセリングのお作法”によるところが大きいのです。
カウンセリングのお作法とは
- 相談内容は、相談者とカウンセラーの間だけにする
- 相談者の話を聴くことが大切
- 個室で待っていて、来る人の相談にのる
このお作法をベースに
学校に入ったのがスクールカウンセラーだったのです。
そんなスクールカウンセラーについては
昔から
- 相談しても話をきいてるだけだった
- アドバイスを受けても解決しない
という保護者の声は大きく
先生からは
- アドバイスをうけてもどう活かせばいいのかわからない
- 重要なことを自分だけで抱えて共有してもらえない
- 教師の立場をわかっていない
- 教師でもできることを教えてもらえない
という意見がありました。
要するに
相談する側からしても
いっしょに働く側としても
使いにくかったんですね。
国の税金で採用しているのに
使いにくいということは良くありませんね…
(今さらながらあらためて反省)
また、カウンセリングをうけた効果が実感できない
という問題があります。
わたしの経験では
先生からは
- 児童・生徒の態度を変えてほしい
- 自分が活かせるテクニックを教えてほしい
そんなニーズがあります。
親からは
- 子どもの行動や態度を変えてほしい
- 子どもとどうかかわればいいのか教えてほしい
- たよれるところを教えてほしい
このようなニーズがあります。
それに対して、カウンセリングには
- カウンセラーのアドバイスが現実ばなれしている
- 相談者と信頼関係はできても行動や態度が変わっていない
- 変化を見てとれるような資料が作れていない(わかりにくい)
- 学級経営を考えずにカウンセリング的関わり方を提案してしまっている
こんな問題があるのではないでしょうか。
これらは学校現場のニーズとは
すれちがいとなっているのでしょう。
だから
という意見となるのではないでしょうか。
これからスクールカウンセラーがどうなるのか(予想)
今回の記事、目玉はこの章です。
なんと、県市町村の教育委員会レベルで
これまでお伝えしたスクールカウンセラーの問題について
何らかのアクションがあるだろう
という情報をきいたのです。
わたしが聞いたことについては、さしひかえますが
学校にいる職員が相談役をになうような案も出ているようです。
そうすることで
- 相談以外の仕事もしてもらえる(教員の負担軽減につなげる)
- カウンセラーをやとう予算が圧縮できる
中身があやふやで、いまいち信じきれないと思うかもしれませんが
スクールカウンセラーをこれからどうするか
検討されているのはたしかです。
でもスクールカウンセラーの年間予算は
増えてるんでしょう?
そこまで知っている人は『通だ!』としか思えませんが(笑)
たしかに毎年、スクールカウンセラーの予算は上がっています。
※ ()内は昨年度の予算
令和4年度文部科学省予算概算要求のポイント
しかし、公認心理師の資格がうまれたことで
これまで、
臨床心理士 時給5000円
非臨床心理士 時給3500円
だったものが
非臨床心理士でも公認心理師をもてば 自給5000円
になったのです。
じっさいに、スクールカウンセラーの
一年間の勤務時間・日数は減っています。
すぐに予算削減などの大きな動きにはならないでしょうが
もしかすると、県や市町村のレベルで
なんらかのメスが入るかもしれないとのこと。
先生がカウンセラーと同じ仕事ができるはずがないじゃん
といいたくなるカウンセラーは少なくないでしょう。
しかし、
「学校に求められていることができていますか?」
と聞かれたら
教育相談担当教員・養護教諭・特別支援コーディネーター
の先生たちの方が
学校にふさわしい対応をしているかもしれません。
また、相談されたときに
これらの先生たちがする方法とのちがいを
はっきりと説明できるでしょうか。
- 傾聴
- 受容
- アドバイス
なら、かなり多くの先生ができるようになっています。
これが説明できないなら存在意義を問われることになるのです…。
それでもスクールカウンセラーになりたい、続けたいなら
わたしにとっても他人ごとではいられないのですが
スクールカウンセラーの立場はこれから苦しくなるでしょう。
それでもなりたいんです!
続けていきたい!
そんな方は
他の職種にできないことを見せること
つまり、希少性を示すことが生き残りの方法となるでしょう。
もう少し具体的にいうなら
- エビデンスを示すこと
- 実効性のあるアドバイスをすること
- アセスメントスキルをアピールする
- 適応指導教室のカウンセラーをねらう
です。
エビデンスを示すこと
エビデンスとは変化を数値で示すことです。
「ある」「なし」
ではなく
“どのくらいの変化があるか”
で示すものです。
カウンセラーがどんな介入(アドバイスや提案)をして
その結果、どんな変化がどれくらい起きたのか
それを相談者と、先生とカウンセラーが共有できる必要があります。
これは、これまでのカウンセリングのように
密室でひっそりとおこなわれる営みとは異なるものです。
こう書くと
そんなのむずかしそうだよ
傾聴と共感を数字ではかろうなんて
人間を軽く見ている
という意見もあるかもしれません。
たしかに生活は、実験室とはちがって
いろいろな要素があって
介入の結果がきれいに出るわけではありません。
それでもカウンセリングをうけることによって
得られるメリットを示すことが求められているのです。
学校の先生たちはカウンセリングのテクニックを身につけて
来談する親ごさんたちの目は肥えました。
カウンセラーでありさえすれば
受け入れてもらえるような時代は終わってしまったのです。
これからのカウンセラーは
- どんな介入をして
- なにに
- どのくらいの変化をおこせたのか
を説明できる必要があるのです。
実効性のあるアドバイスをすること
相談に来る人たちが実生活や
教室でもできるような方法を
心理の立場から提案する必要があります。
そうでなければ
”だれでもできる仕事”
になってしまうからです。
たとえば箱庭などの心理ツールなどは
心を治療するうえでは有効であるとされてきました。
しかし、何にどう有効なのかは不明な点もあります。
※ 不明というだけで効果がないとは言えない
なんだかよくなったような気がする
と思わせることはあっても
悩みに対してスジの通った介入になりにくい面があります。
箱庭であれば、箱庭のなかで再現されたことを
相談者の実生活におとしこめるように
転換できるスキルが求められるでしょう。
それ以外の方法にしても
相談者の生活を変えていけるようなアドバイスと説明が
求められているのでしょう。
アセスメントスキルをアピールする
現状では心理アセスメントは心理職にしかできないスキルです。
※知能検査ができる先生は多いですが
心理職はアセスメントが養成のなかに組みこまれており
アセスメントなしでは心理的ケアは成立しないからです。
元教員のスタッフと働いていても
アセスメントのバリエーションや精度は
やはり心理職の方が多いです。
わたしは知能検査はほとんどできません(笑)
むしろ先生の方が得意な方もいるくらいです。
それでも幅広く情報を集めて
いろいろな角度からクライアントを分析します。
先生よりも広い視野を持っていると自覚することもあります。
元教員スタッフからは
そんなことまで聞いてどうするの!?
と思われていることでしょうが
狙いがあってのことです。
また、わたしがどういう視点で情報を聞き出しているのかは
先生方には理解できないのです。
また、ちがった角度から見たときのアドバイスを
期待されてもいるのです。
アセスメント能力を向上させることは
スクールカウンセラーの意義として大きいはずです。
適応指導教室のカウンセラーをねらう
スクールカウンセラーが働きやすい場をねらう
というのも解決策です。
スクールカウンセラーには制度的な問題もあります。
- 勤務日数がバラバラなので継続的な対応がしにくい
- 活用は校長の考え方に左右される
- 先生たちが忙しく連携がしにくい
スクールカウンセラーはけっこう、孤立してもいます。
カウンセラーが学校で活躍できるかどうかは
カウンセラーだけではなく
- 管理職(校長・教頭)
- 生徒指導主事
- 教育相談担当教員
- 養護教諭
など、キーマンによって左右されます。
わたしもスクールカウンセラーをしていたときは
学校によって、使ってもらえるかどうかは
学校によって全くちがっていて、とまどいました。
しかし、今の職場(教育支援センター)では
勤務日数が確保されている分
見えることも
アドバイスできることも
ずっと多くなるし
元教員と働くことで
先生にあったアドバイスや方法を
伝えやすくもなっています。
カウンセリングとはちがう仕事もありますが
それでもカウンセラーとしてのやりがいはあります。
問題はスクールカウンセラー以上に“狭き門”であることでしょう。
スクールカウンセラーの配置事業のなかでも
教育支援センターに勤務しているのは
ごくわずかです。
スクールカウンセラー等活用事業に関するQ&A【SC配置事業】
まとめ
今回は
岐路にあるスクールカウンセラーの現状
について解説しました。
一昔前くらいまで、「カウンセリング」という言葉には
魔術的なロマンがありました。
「カウンセラーに相談すればきっと解決する」
「話を聴いてもらえれば改善する」
「カウンセラーはすごいにちがいない」
そんな風に思ってもらえたのです。
しかしロマンとはある種の“化けの皮”です。
スクールカウンセラーの制度がはじまり(平成7年:1995年)
約30年になり、ユーザーは晴眼になったのです。
逆に、これをユーザーに合わせていくことで
カウンセリングはまだまだ成長していけるということでもあります。
これからスクールカウンセラーになろうとする人
これからもスクールカウンセラーを続けていくという人の
お役に立てば幸いです。
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