愛着障害【もういや!】とならないために学校がやるべき4つのこと

子育て

公認心理師のツナカンです。

 

ふだんは不登校のお子さん

 

子育てに悩む親ごさん

 

学校の先生を

 

応援しています。

 

いきなりですが,わたしは児童養護施設という

 

子どものための施設で,心理職として10年以上

 

はたらいていました。

 

その中には,学校でいろいろな問題を起こす子が

 

少なくありませんでした。

 

それは,その子が悪いのではなく

 

その子が経験のなかで身につけたパターンがあって

 

それが学校では,ふさわしくない反応としてあらわれてしまうからです。

 

この問題となるような子どもたちには

 

アタッチメント(愛着)の課題をかかえていることが

 

少なくありませんでした。

 

今回は

 

アタッチメントの課題を抱える子と,学校ではどう対応すればいいか

 

をテーマにお伝えします。

 

 

 

アタッチメントの課題は成長とともに

 

表にでてくる状態が変わっていきます。

 

 

今回は

 

中学~高校くらいまでの先生に向けて

 

お伝えします。

 

幼~小学生向けの記事はこちら

【ざっくりわかる】アタッチメント(愛着)障害の子の特徴5つ 

 

  • その子へのリスペクトをもつこと
  • 心理教育
  • 専門機関(家)との連携
  • 限界をきめておく

 

 

 

 

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愛着障害【もういや!】とならないために学校がやるべき4つのこと

 

アタッチメント障害を一言でいうなら

 

心の中に優しい大人がいない状態

 

です。

今いるところが安全でなければ

 

安心できる場所を探しつづけたり

 

いつでも危険に反応できるようにしておいたり

 

だれが敵で味方なのかわからなくなり

 

少しでも安心できると感じられるものを

 

身近においておきたくなる…

 

そんなふうになるでしょう。

あるていど健全に育った人は

 

安心させてくれる人のイメージを

 

心の中に住まわせていて

 

ふだんは気づかないけれど

 

その人が,子どもの安心感を

 

支えてくれているのです。

 

 

安心できる経験が足りないまま

 

成長してしまうことで

 

自分と他人のちがいをあいまいにさせ

 

それが二次的なトラブルになるのです。

このあと,この記事でお伝えするのは

 

学校で先生ができること

 

にしぼっていますので

 

心の治療のやりかたではないことをご理解ください。

 

 

 

今まで生きぬいてきたことへのリスペクト

 

そして,もう一つ先にお伝えしておかねばならないのは

 

アタッチメント(愛着)障害の子が見せる

 

ちょっと極端なアクションは

 

その子が今まで生きぬくために有効な方法だった

 

ということです。

ですから,まず今まで生き抜いてきたその生い立ちを

 

リスペクトする気持ちをもつ必要があります。

 

 

 

心理教育と連携

 

心理教育というと

 

 

学校は勉強するところだから

 

やるってのはわかるけど

 

心の教育って専門外。

 

だれがやればいいの?

 

 

という疑問がわくでしょう。

 

これは,スクールカウンセラーにおねがいするのが良いでしょう。

 

もちろん病院などで治療をうけるなかで

 

心理教育はうけることになります。

 

しかし,治療にたどりつくまでに

 

学校でできることがあるのです。

子ども自身に自覚があるのか,ないのか

 

によってもやりかたは変わります。

 

以下に3つのパターンで解説します。

 

 

 

子どもに自覚があるが医療につながっていない

 

アタッチメント障害にかぎらず

 

インターネットでいろいろとしらべて

 

『自分は~障害だと思う』

 

と,病気を自称する人がいます。

 

そんなときには以下のような手順をおススメします。

 

  • そう思ったわけをきく
  • 自己診断はできないことを伝える
  • カウンセリングにつなぐ
    - 医療機関への相談をすすめる

 

 

①そう思ったわけをきく

 

自分をアタッチメント(愛着)障害だと見立てたわけをきいてみましょう。

その中に,その子が,何に,どうして困っているのか

 

エッセンスがまざっているのです。

 

アタッチメント障害でなかったとしても

 

先生がその子の気もちや,おかれている状況を

 

わかってあげられるきっかけになるはずです。

 

 

 

② 自己診断はできないことを伝える

 

診断はあくまでも医者だけができることなのですが,

 

 

自分はアタッチメント障害なんだ!

 

と見立てた理由を

 

インターネットなどで見つけてくることがあります。

インターネットは必ずしも正しい情報ばかりではありません。

 

子どもがまちがった情報にもとづいて

 

その病気になりきってしまって

 

まちがえた対処を学んでしまうこともあります。

ですから,自己診断はできないし

 

先生も真にうけてはいけません。

 

 

③カウンセリングにつなぐ

 

子どもが“自称”アタッチメント障害であったとしても

 

アタッチメント障害の診断をもらっていたとしても

 

カウンセリングにつなぐと良いでしょう。

 

なにか生きにくさを感じているから

 

うったえているのです。

 

 

 

でも,そういう子ほど

 

カウンセリングに悪いイメージをもってたり

 

あまり困っていなかったりするんです…。

 

 

そんな時々は,先生がていねいに話をききながら

 

 

カウンセリングで相談してみると

 

今よりももっと楽に生きられる方法を

 

いっしょに考えてくれるよ。

 

 

などと,モチベーションを上げられるように

 

はたらきかけるのがよいでしょう。

 

カウンセリングにつないでからも

 

先生がその子の支えになりつづける必要はあります。

 

より専門的な支援をうけるためにも

 

カウンセリングにつなぐことをおススメします。

 

 

④医療機関への相談をすすめる

 

もしまだ主治医がいないのであれば

 

医療機関に相談してみることをすすめるのも良いでしょう。

 

 

でも精神科とか心療内科というと

 

『病人あつかいするな!』

 

と言われそうで怖いです。

 

 

たしかに,気をつけてすすめなければいけません。

 

カウンセリングのときと同じように

 

医療機関に相談することで

 

メリットがあることを

 

ていねいに伝えるとよいでしょう。

医療機関で相談できると

  • 病院のカウンセリングが保険適用で安くうけられる
  • 薬で気分がよくなる
  • 診断名がつけば,正体不明の“生きにくさ”にちゃんとした名前がつく
  • 診断名がつくと,なにが必要なことなのかわかる
  • 相談できる人がふえる

などのメリットがあります。

 

 

 

子どもに自覚があり医療につながっている

 

子どもに自覚があるなら

 

心理教育をしてみることも良いでしょう。

病院の治療のなかで行われることもありますが

 

病院で想定していることとは

 

ちがうことが学校でおきることもあります。

 

できれば病院とつながって

 

どのような治療がされているのか

 

どのような心理教育がなされているのか

 

がわかるようになるとベストです。

 

 

でも心理教育って何をすればいいの?

 

というギモンがわくでしょう。

 

たとえば,こんなテーマが良いでしょう。

  • アンガーマネジメント
  • セルフモニタリング
  • SST
  • 理想モデルを見せる

一つずつお伝えします。

 

 

①アンガーマネジメント

 

怒りのコントロールのやり方を伝えます。

 

あまり,かたくるしく考えず

 

怒りたくなったときに

 

どんなふうに対処するかを伝え

 

いっしょに練習します。

もっともシンプルでありながら

 

かなり効果的なのが呼吸法です。

 

こちらの記事で紹介していますので

 

良ければご覧になって下さい。

体を強くするマインドフルな呼吸法

 

 

 

②セルフモニタリング

 

自分自身を観察することです。

自分の感覚をじっくりと味わうのも良いのですが

 

愛着障害のケースでは

 

他人とのやりとりがうまくいかず

 

それが生きにくさにつながっていることが

 

少なくありません。

 

子どもと話しあい,提案してみてOKが出たら

 

他の子や,大人とのやりとりをカメラでとって

 

あとでいっしょに見てみるのも良いでしょう。

そして,

 

「こんなときは,こうするといいかもね」

 

と,ふりかえりをするようにします。

 

 

 

③ソーシャルスキルトレーニング(SST)

 

さきほどのセルフモニタリングともかぶるのですが

 

ソーシャルスキルトレーニングは

 

人づきあいのスキルです。

アタッチメント障害の子は

 

他人との物理的な距離感や

 

他者の気持ちを,ちょうどよい感じでくみとることが

 

苦手なことが少なくありません。

 

これは生まれつきのものというよりも

 

生い立ちの中で,

 

自分の気もちをわかってもらう

 

細やかで,ていねいなしつけをしてもらう…

 

こういった,人として生きるための根っことなるような経験が

 

不足しているせいだと考えられます。

このような生い立ちの中で身につけた

 

考え方や,感情のもちかたを変えるのは

 

かなりむずかしいものです。

 

ですから,その時々にふさわしい

 

  • 言葉づかい
  • 立ち居ふるまい

 

などを教えてあげることは大切なことです。

 

そのためには,安心できる関係をつくることは不可欠です。

 

 

 

④理想モデルを見せる

 

人としての弱さや強さを見せることも大切です。

理想モデルといっても

 

品行方正なすがたということではありません。

 

たとえば,スキンシップをしすぎないで

 

よい距離でつきあうとか

 

ていねいな言葉をつかうとか

 

また,ときには弱みを見せてもよいでしょう。

 

信頼してもらえると

 

“こんな風になりたい”

 

と思って,マネしてもらえるようになれば

 

先生の気もちや考えが伝わりやすくなります。

生きざまといったら大げさかもしれませんが

 

適切なかかわりかたを見せてくれる人が

 

必要なのです。

 

 

 

子どもに自覚がない

 

そもそも人は,自分の行動が

 

問題の原因になっていることは

 

なかなか認めたくないものです。

 

適切なかかわりが不足しているような子にとっては

 

 

わかってもらいたいのにわかってもらない

 

というジレンマは大きくなります。

 

そんなときには

 

こんな方法があります。

  • 生きにくさに焦点をあてる
  • 家庭環境をしらべる
  • チェックリストを実施する

 

 

①生きにくさに焦点をあてる

 

 

わたしはべつに困ってないよ!

 

 

 

子どもはそんな風に言うかもしれません。

 

しかし,どこかではできれば落ちついて過ごしていきたい

 

という気もちはもっているものです。

それでも,トラブルの多い生活に慣れてしまうと

 

それ以上のものはないと思いこんでしまうのです。

 

そんなときには

 

 

もしケンカやトラブルで使うエネルギーが

 

もっとちがうところに使えるとしたら

 

あなたがあきらめているところに

 

使えると思うんだ。

 

 

 

そうしたら,あなたはもっと

 

成長できると思うんだけど

 

あなたはどう思う?

 

 

などと投げかけてみると

 

なんらかの反応がえられるかもしれません。

イジをはっていたとしても

 

困っていないとしても

 

自分をもっと成長させたい

 

そんな思いはだれも持っているものだと思います。

 

 

 

② 家庭環境をしらべる

 

もしかすると

 

先生の目の前でトラブルになっている子は

 

いまだに家で苦しい思いをしているのかもしれません。

しかし,それが話せないこともあります。

 

そんなときは

 

できれば,親ごさんと会って

 

子どもについてどんな風に関わっているのか

 

どんな風にかんがえているのか

 

うかがってみるのが良いでしょう。

 

例えば,

 

子どものことを見下している

 

子どもが苦しんでいてもアクションを起こさない

 

子どものせいにしている

 

親ごさんが生活に苦しんでいる

 

こうしたことは大事な情報になります。

 

親ごさんの言動から

 

子どもがおかれている状況を推測することができます。

 

 

 

④チェックリストを実施する

 

もしスクールカウンセラーがいるなら

 

なんらかの心理的なチェックリストをしてもらうのも良いでしょう。

チェックリストをすることで

 

子どもの大まかなイメージをつかむことができますし

 

その分,打てる手立てが早く見つけられたり

 

ためしてみた手立てが,実効力があるのかがわかります。

 

チェックリストは先生でもできるものがありますが

 

結果だけで判断できないところが多くあります。

 

カウンセラーに補足してもらいながら

 

有効に使ってみるとよいでしょう。

 

 

 

 

限界をはっきりとさせておくこと

 

アタッチメント障害のお子さんとかかわる上で

 

大切なことは

 

学校の限界をはっきりさせておくこと

 

です。

 

 

限界を決めると,安心することができます。

 

もしかしたら

 

 

え!?限界を決めるなんて,子どもにかわいそう

 

そんな熱い思いを持つ先生もいるかもしれません。

 

しかし,限界をもつということは

 

より専門性をあげることができる

 

ということでもあるのです。

より専門性を高めて,足りないところは

 

ほかの専門機関と手わけをする

 

それがアタッチメント障害のお子さんにとって

 

必要なことだと,わたしは考えています。

 

限界を決めることについて

 

もう少し深ぼりしていきます。

  • 限界はどの職員もぜったいに守る
  • 限界は子どもにも伝える
  • ダメなものは徹底してダメであることを示す

 

 

限界はどの職員もぜったいに守る

 

学校としてできることとできないことを

 

はっきりとさせます。

 

そして,はっきりさせた限界以上のことはどの職員もしてはいけません。

 

そうでなければ

 

 

A先生は…してくれたのに

 

B先生はしてくれないんだね!

 

という怒りになります。

 

すると,B先生は攻撃の矛先をむけられることになり

 

やがて,B先生はA先生のことをうらむようになります。

 

こうしてチームワークがくずれていくのです。

 

 

また,A先生にとっても

 

やがて個人の限界をこえたときに

 

その子のことが大きな負担になってしまい

 

つきはなすことになってしまいます。

 

ですから,決めた限界はどの職員も守らなければなりません。

そして,どの人も守れることによって

 

枠が作られ,その中で

 

子どもも安定できるようになるのです。

 

アタッチメント障害とはヒヨコになるまえに

 

生まれてしまったようなものです。

 

もう一度,しっかりとしたカラ(枠)の中で

 

育て上げることが必要なのです。

 

 

 

ペナルティをあたえる

 

学校でルールを決めて,子どもにも伝えても

 

守ってもらえないこともあります。

 

専門家のあいだでも議論はありますが

 

段階的なペナルティをあたえるのもありです。

 

 

どんなペナルティを?

 

例えば

  1. 医療機関を強くすすめる
  2. 登校停止
  3. 退学

などです。

 

 

ただでさえ辛い思いをしている子にペナルティを!?

 

その子だけのために学校があるのなら

 

まだ良いのかもしれませんが

 

みんなの迷惑になるようなことは

 

許されないことを伝えるのも大切なことです。

 

言葉で言ってわからないときには

 

しくみで対処するしかないのです。

ペナルティを与えないですむようにするためにも

 

職員が枠を守ることが大切です。

 

 

 

 

警察と連携しておく

 

暴力ざたになるようなら

 

警察には連絡をしておきましょう。

警察は,学校の枠の外にある

 

もっと強い枠です。

 

 

大ごとになるようで,やりにくいです。

 

何を警察に伝えればいいんでしょう?

 

 

警察は通報するばかりではなく

 

相談するところでもあります。

 

ひんぱんでなくてもよいので

 

暴力ざたになるようなケースは

 

ケース会議に参加してもらうとか

 

相談として

 

「こんな生徒がいて,対応を依頼するかもしれません」

 

と一報入れておけば良いと思います。

 

ごねれば枠をくずせる,大人が言うことをきいてくれる…

 

そういう風に感じさせてしまったら

 

それは大人側の対応法に問題があるということです。

 

もちろん,子どもにも警察と連携していることを

 

知らせてしまっても良いでしょう。

 

学校だけでなく,社会のシステムの枠で

 

育ちなおしのための枠を作りましょう。

 

 

 

まとめ

今回は

 

アタッチメント障害の子と学校でどうかかわればいいか

 

について解説しました。

 

アタッチメント障害といっても

 

ひとくくりにはできないものがありますが

 

いずれにせよ

 

“みんなが安心できるところ”

 

であることがもっとも大切なことになります。

 

そのために,本人をふくめた

 

チームワークがたいせつです。

 

今回は,アタッチメント障害についての

 

概論は,はぶきましたので

 

別の記事で紹介します。

 

 

 

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