通信制高校に見学に行ってきた『水戸平成学園』

不登校支援

こんにちは ツナカンです。

 

教育支援センター(適応指導教室)のカウンセラーとして

 

お子さんや,保護者,先生方を応援しています。

 

今回は

 

 

通信制高校を進学先に考えてる。

 

通信制高校にもいろいろあるって聞くけど

 

どこがいいの?

 

 

そんな方に向けて

 

私立の通信制高校 の一例として

 

水戸平成学園高等学校(通信制)

 

についてお知らせします。

 

 

通信制高校の進学を考えた時

 

まずは私立と公立のどちらに行くか

 

その後は,どの学校にすればよいのかを迷うはずです。

 

高校ごとに特色がありますので

 

一つの例として参考にはなるはずです。

 

 

 

なお,今回の内容を記事にすることについては

 

水戸平成学園の許可を頂いています。

 

 

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通信制高校を見学してみた【水戸平成学園】

今回は,学校に直接お伺いして

 

校長先生,教頭先生

 

広報担当の先生からお話をうかがい

 

その後見学させていただきました。

 

 

水戸平成学園の沿革・特徴は以下の通りです。

 

  • 平成17年9月22日創立
  • 定員450名
  • 「学びたい子にチャンスを提供する」をモットーにした教育
  • 通信制で全国初の試みとして「7つの習慣J」を導入

 

 

若い学校ではありますが

 

校長先生の

 

「ただ卒業すればよいのではなく,それなりに成果を残せることが大事。」

「時間を守る,あいさつをする,など社会に出たときに必要なことを教育している。」

「自立した人間になるために,社会性が身につくような働きかけを目指している。」

 

など教育に対する熱意がこもっていました。

 

また教育の特色として

 

「七つの習慣J」

 

の活用を打ち出しています。

 

 

水戸平成学園高等学校の通信制の特色

 

① 学習環境

学習の環境は以下の通りです。

  • 週5日開校
  • 複数担任制(各学年に複数の担任の先生がいます)
  • 午前中は科目の一斉授業,午後:個別指導(レポート指導・レベルに応じた指導・生徒フォロー)
  • 大学進学を目指す「大進コース」…希望者は参加できる。
  • 1年生のうちから進路指導を徹底
  • ICT教材「すらら」の活用
  • 無料スクールバスで送迎

 

 

生徒さんたちが学びやすいように

 

さまざまな工夫がなされています。

 

この中から,いくつか取り上げて

 

以下に解説します。

 

 

授業

午前中は集団での授業となります。

 

午前の授業に参加できず

 

抜けてしまった部分は

 

午後の個別の時間に質問することができます。

 

午後の時間帯に参加して、レポートを作成する生徒さんも多いそうです。

 

スクーリングのスケジュールが

 

自分で確認できるようになっています。

 

 

図書室には個別のブースも用意

体育・特別活動は申込制で自分の参加したい活動に参加できます。

 

体育は座学と,月に2回くらいのペースで

 

公共の体育館などを使って実技をしているそうです。

 

また,その際はバドミントン、バスケットボールなど

 

とりくみやすい運動をしているとのこと。

 

このように座学と実技があるので、アクティブな活動が苦手な人でも

 

カバーできるようになっています。

 

 

オンライン

ICT教材の「すらら」は中学~大学受験までをカバーしており

 

IDパスは生徒さん全員に配られていて

 

校内のPCで学ぶことができるようになっています。

 

もともと通信制であるためコロナ休校の間は

 

視聴覚講座とレポートでの課題で対応。

 

自分をコントロールする力がためされる

 

自宅学習が成長につながると考えており

 

わからなかったところを先生に質問するなど

 

生徒の主体的な行動を大切にしています。

 

なによりも生徒さん同士は直接会いたい気持ちがあるそうです。

 

ですので、「オンライン授業を特別にはしない」とのこと。

 

 

 

単位取得への気配り

単位の取得状況は紙面を使って

 

自分でチェックできるようになっています。

 

その他にも学習管理システムで

 

WEB上で管理できます。

 

また保護者との共有も可能です。

 

 

通学への気配り

無料のスクールバスがあります。

 

また始業時間もあえて遅めです。

 

朝が苦手な子が多いのと,転校生が多いので

 

前の学校の同級生と会わずにすむように,

 

という気配りなのです。

 

 

 

学習内容の特色

学園オリジナルの指導では

 

一般教科以外の活動があります。

 

特に

 

  • 「7つの習慣J」をもとにレポートを作成
  • ファシリテーターの講義を最低1回聞くことが必修

 

となっているなど

 

学園独自の取り組みがあります。

 

 

特別活動・総合学習

 

特別活動は単位認定のために必要なものですが

 

むりに参加させることはなく

 

生徒さんの希望を大事にしています。

 

例えば以下のような内容です。

 

  • 消費生活セミナー
  • 心理学入門
  • 介護セミナー
  • 人権教育
  • 救急員講習
  • 定時制通信制体育大会
  • 文化祭
  • 遠足
  • 修学旅行
  • スノーボード実習

など

 

行事を通して生徒さん同士が仲良くなり

 

学校が楽しくなって

 

通学のモチベーションを高めます。

 

 

〇生徒の発表の機会

生徒さんが発表する場として

  • 生活体験発表会
  • 文化祭

があります。

 

生活体験発表会は定時制・通信制の生徒が対象で

 

入賞したことも。

文化祭は生徒が中心となって企画・運営されているそうで、

 

校舎の全てを使っておこないます。

 

一般の人との交流を図る機会になっています。

 

 

 

メンタルサポート体制

メンタルのサポート体制は以下の通りです。

  • カウンセラーを配置
  • 職員室がオープンで生徒との垣根が低い
  • 職員のカウンセリングマインド
  • 保護者との連携
  • 卒業してからも関わりを続けている

 

 

 

メンタルサポート

 

カウンセラーが月に10日ほど勤務し

 

保護者や生徒との相談や

 

教員へのアドバイスをしてくれています。

 

カウンセラーに任せきりにせず

 

教員の誰もがカウンセラーのように,

 

理解し対応できることを大切にしているとのことでした。

また常勤の先生は “学校携帯” を所持していて

 

生徒や保護者の相談に対応しています。

 

発達に偏りのあるお子さんについては

 

個別の対応と学年会議で小さな変化も

 

見えるようにしています。

 

水戸平成学園には

 

様々な生徒さんが通っています。

 

そのような様々な生い立ちを持つ生徒さんについて

 

どのように気配りをしているのか

 

個人的にずっと気になっていました。

 

それについては

  • 特別視しない環境
  • 保護者との細かい連携や情報共有

をしているとのことでした。

 

 

 

保護者との連携

定期的に父兄が自由に話し合える場をもうけています。

 

また先生・生徒さん・保護者での

 

三者面談を毎年実施しているそうです。

 

三者面談のあとに,保護者との

 

二者面談という流れを作っていて

 

そこで保護者の声をきくようにしています。

 

しかし,保護者に迎合するのではなく

 

あくまでも一緒に教育をしていくための

 

“相談”というスタンスを大切にしているとのことでした。

 

 

 

卒業後のケア

卒業後もメールで連絡をしています。

 

また卒業生が報告に来てくれて

 

その中で相談になることもあるそうです。

 

卒業した後も安心できるように

 

気を配っています。

 

 

 

入学テスト

入学時のテストがありますが

 

これは合否を決めるわけではなく

 

あくまでも入学時の学力を

 

知るためのものです。

 

入学後のサポート体制の参考とします。

 

 

 

水戸平成学園の雰囲気

  • 保健室の稼働率は高い。
  • 服装は自由だが制服も用意されている。
  • 大学のような自由な雰囲気

 

保健室は明るい雰囲気でした。

 

いろいろな事情から

 

長く教室にいることが強い負担になる生徒さんもいます。

 

こうしたことから,保健室は生徒さんが

 

安心できる場になっているようでした。

 

制服はありますが服装は自由です。

制服は新入生の3~4割の方が購入するそうです。

 

 

 

生徒の皆さんが自由に集まれる

 

フリースペースも見させてもらいましたが

 

それぞれ自由で,楽しそうで

 

大学のような雰囲気でした。

 

階段下にはカップラーメンのセルフ販売コーナーも。

 

 

 

生徒の傾向

水戸平成学園の生徒さんの傾向は

以下のとおりです。

  • 全日制からの転校生が過半数
  • 生徒の年齢差はほとんどない
  • 入学生の不登校経験者の割合は7~8割程度
  • まじめ
  • 男女差はだいたい半々
  • 進学校からの転入生が徐々に増えている
  • 学力差は大きい

 

 

生徒の質

昔は反社会的な生徒もいたそうですが

 

今では真面目な生徒さんが多く

 

レポートの提出も徐々に

 

滞りなくこなせるようになってきているとのこと。

 

週に5日は授業をしていて

 

午前・午後ともに授業をしていることで

 

自宅だと学習がはかどらないと考える生徒さんが

 

自ら5日間登校してくることもあります。

 

学力

 

学力差はありますが

 

個別指導で,その子に応じた指導を行っています。

 

 

生徒数

生徒数は一年のうちでも変動があり

 

入学時が60名程度だったのが120名程度になることも多いそうです。

 

2021.10月時点では

 

1学年:73人,2学年122人,3年124人

 

の生徒さんがいるとのことでした。

 

途中で学校をやめてしまうことは少ないのですが

 

途中から入学することが多いとのことです。

 

これは,水戸平成学園に限らず

 

通信制の特徴かもしれません。

 

 

ちなみに,不登校から通信制高校に入学する生徒の割合は

 

狭域制通信制:約2人に1名

広域制:66.7%

出典:定時制・通信制高等学校における教育の質の確保のための調査研究

 

だそうです。

【不登校支援】通信制高校の3つの形態

 

中には片道で1時間以上にもなる遠方から

 

来ている生徒さんもいて,それだけこうした学校のあり方に

 

魅力を感じているということなのでしょう。

 

このように学びたい生徒さんが

 

いつでも来やすい環境が整っているメリットは大きいようです。

 

 

生徒の活動

 

①万本桜プロジェクト

 

水戸平成学園では

 

東日本大震災で大きな被害をうけた

 

福島県の復興を支援する

 

″万本桜プロジェクト” に加わっています。

 

そこで被災した現状を知ったり

 

生徒さん同士で体験を通して学んだり

 

体験を共有したりする

 

貴重な機会になっているとのことです。

もちろん,参加は強制されることはありません。

 

こうした活動についても

 

あくまでも主体性を大切にするということが

 

貫かれているようでした。

 

 

 

② 部活

 

部活については,

 

通信制高校という性質もあって

 

まとまって活動するのはむずかしい面があるそうです

 

それでも

  • eスポーツ
  • JRC
  • 図書部

などの活動があるそうで

 

eスポーツ部はすでに大会に

 

参加したこともあります。

 

 

卒業について

卒業するためにはいくつかの

 

要件をみたす必要があります。

 

それは以下のとおり。

 

  • 36か月以上の在籍
  • 74単位以上の単位修得(スクーリング・レポート・単位認定試験)
  • 特別活動への参加(30時間)

 

 

 

 

スクーリングがどの程度できているのかは

 

チェック表で自分でチェックできるようになっています。

単位認定試験は,レポートの中から多く出題されるので、

 

日々のレポートをきちんと解くことが大切です。

 

 

こちらがレポートの実物。

テキストを参考にして解答できるようになっています。

 

 

こちらはレポートチェック表。

どの科目のレポートが提出してあって

 

どの科目が未提出なのか

 

自分で管理できるようになっています。

 

普通高校だと当たり前のようにほぼ全員が卒業します。

 

しかし通信制は卒業するまでに時間がかかったり

 

単位不足で中退することだってあります。

 

こうしたことから,卒業率 という表現をします。

 

 

水戸平成学園では

 

卒業率は約94~95%

 

とのことで

 

ほとんどの生徒さんが3年で卒業します。

 

大学進学を目指す場合や

 

目標を定めるための時間が必要な生徒さんが

 

あえて4年目を選択する場合もあるとのことでした。

 

退学した子が1~2年後に復帰するケースもあるそうです。

 

通信制高校では,一般的に毎年2割くらいの中退者が出るそうですが

 

水戸平成学園では中退者は1割以下だそうです。

 

 

 

進路

進路は生徒さんが自分で

 

目標を立てており

 

それを元に先生方が指導を行っています。

 

進路指導では,年に三回の進路セミナー

 

履歴書・エントリーシートなどの書き方をこまかく指導しています。

 

全体への指導として

 

大学・専門学校,企業から説明も設定。

 

この他,個別でのレクチャーなどもあり。

卒業後の進路は

 

年度によって変わりますが

 

おおむね

 

  • 大学・短大進学率20~30%前後
  • 専門学校が30~40%前後
  • 就職が20%前後

 

全体で6割ぐらいが進学するそうです。

 

5年連続で国公立大学の合格者も出ています。

 

過去には有名大学にも合格者を出した実績があります。

 

 

「通信制高校はやるべきことが,はっきりしているので

 

まず単位に必要なスクーリング・レポートを終わらせて

 

その余力を進学のための勉強に,ふり分けられるからだろう」

 

とのことでした。

 

「その手があったか!」

 

と目からウロコが落ちるような思いでした。

 

 

ちなみに令和2年度は

 

医療系の学校に進む生徒が多かったそうです。

 

こうした実績の背景には

 

 

先生方がひたすらていねいに向き合っているからなのでしょう。

 

例えば,一枚一枚のレポートの誤字脱字にも

 

細やかなフィードバックがされています。

 

これについて保護者さんからはたいへん評価されているそうです。

 

こうしたことが,おそらく生徒さんにも届いているのでしょう。

 

 

 

 

教師の指導体制

校長先生から先生方の指導のあり方について

 

お話をお伺いしました。

 

〇考え方

  • ″生徒最優先”
  • 勉強だけでなく非認知能力の向上も図る

 

会議などが入っていても

 

生徒からの相談があれば

 

そちらを優先するのだそうです。

 

非認知能力とは,いわゆる人とうまくやれる力

 

とも言えるのですが

 

これを伸ばすには他人との細やかな関わりが必要です。

 

そのために,勉強以外の先生とのかかわりを

 

もてるようにしています。

 

 

 

〇指導体制

一般的な公立の教員は授業時間が13時間以上になり

 

さらに会議・事務作業・文書作成などに時間をとられてしまいます。

 

かたや水戸平成学園の教員は7~8時間で

 

その差分を生徒との関係づくりや,コンサルに向けています。

 

それが生徒さんたちのやる気をあげているのだろう

 

とのことでした。

 

非常勤の教員が専門的に授業をしてくれていることで

 

このような体制が作られています。

 

 

〇先生について

働いている先生にも特色があります。

先生について

  • 小学校~中学校の教員を経験した先生も多数
  • 男女比は半々

 

小~中学校の経験がある先生を多く採用しているそうです。

 

小学校~中学校は,

 

気持ちによりそうような

 

対応を必要とする時期です。

 

そのためこうしたスキルができる人材を

 

先生として採用しているそうです。

 

今後は,さらに教科以外の関わりを

 

手厚くできるよう

 

できるだけ常勤の先生を増やすことを

 

目指しているとのことです。

 

 

 

学費

授業料は一単位当たり1万円ですが

 

令和2年度から学費の制度が改訂されました。

 

家庭の収入や家族構成に応じて学費は変わります。(最高で無償も)

 

現在、半数以上のご家庭が授業料無償です。

 

  • 修学旅行などの積立なし(都度払い)
  • PTA会費なし
  • 規定のスクールバッグ、上履き、ジャージなし
  • 制服は希望者のみ

 

私立というと学費が高いイメージがありますが

 

これらを見ると

 

普通高校と比べても学費は

 

必ずしも高くはありません。

最低で年間62000円ですむことも。

 

 

 

水戸平成学園体験談

 

 

小学校から不登校になり

 

中学校まで含めても

 

ほとんど学校には行きませんでした。

 

 

 

勉強もかなり遅れてしまっていて

 

『同じ年の人たちに追いつくのはどうせ無理だ』

 

と思いながら

 

水戸平成学園に入学しました。

 

 

 

でも,学校の雰囲気にも慣れてきて

 

先生が手厚くかかわってくれて

 

『ここを信じていいんだ』と思い始めたんです。

 

 

 

そうして2年生になってから

 

『もっと勉強してみたい

 

そうしたら自分はどうなるんだろう…』

 

そんな気持ちが出てきました。

 

 

 

ちなみに学校では勉強しろとは言われていません。

 

 

 

先生に,もっと勉強してみたいという話をしてみたところ

 

学校と提携している塾(水戸)があるとのことでした。

 

塾というと,学校とはちがっていて

 

学校みたいに関わってもらえるんだろうか…

 

ちょっと不安もありました。

 

 

 

でも行ってみたら学校と同じような雰囲気で

 

とてもていねいに関わってくれて

 

安心できたのです。

 

きっと,塾も学校の考え方を共有してくれていたんだと思います。

 

 

 

安心できる場所が二つできたことで

 

めちゃくちゃ勉強もやりました。

 

そうしたら国内でも一流と言われる

 

有名大学に合格しました!

 

 

 

不登校だってここまでできるんだ。

 

そして,こんな風に自分の力を伸ばせる場があるんだ。

 

 

 

自分にとっての高校は,人生の中でも

 

大きく変われた時期だと思います。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・

具体的なところは,かなりぼかしたり

 

変更したりしていますが

 

校長先生からお伺いした

 

実際にあった例からご紹介しました。

 

 

 

まとめ

今回は

 

水戸平成学園

 

についてご紹介しました。

 

実はずっと前から名前をうかがうことが意外と多かったのですが

 

学校の雰囲気を直接見に行ってみると

 

聞いていた話以上のことがわかりました。

 

同じように,わたしの

 

blogだけではわからないことも

 

たくさんあると思いますので

 

見学に行ってみることをおススメします。

 

校長先生をはじめ

 

どの先生方も

 

対応が実にていねいでした。

 

こういう対応が

 

生徒さんに対しても行われているのでしょう。

 

今回は,不登校になっても

 

高校からでも変わることができる…

 

そんなことを改めて強く感じられる機会になりました。

 

今後も機会があれば通信制高校について

 

レポートしていきたいと思います。

 

 

 

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