学校,「行く?行かない?」二項対立のワナ

不登校支援

こんにちは。

 

公認心理師のツナカンです。

 

ふだんは,教育支援センター(適応指導教室)で

 

学校に行けないお子さんや

 

子そだてに悩む親ごさん

 

学校の先生方の

 

こころの支援をしています。

 

 

子どもが不登校になりました。

 

どうしたらいいのでしょうか?

 

 

 

学校に行かなきゃいけないのは

 

わかっているけど

 

いけない。

 

理由もわからない。

 

でも,親には学校に行けって言われるし

 

先生や友だちからも学校に来いと言われる。

 

ネットでも不登校は甘えだって

 

書いてある。

 

どうしていいかわからない。

 

 

 

こういう相談に,ふだんから乗っているのですが

 

そんな時に,親も子どもも陥りやすいのが

 

“学校に行けるか,行けないか”

 

です。

 

 

親にとっても

 

子どもにとっても

 

学校に行けない,行かない

 

ことを,どうとらえるかで

 

気持ちのありかたも,対応も

 

まったくちがうものになります。

 

 

今回は

 

不登校でも前を向くために

 

避けたい ″二項対立のワナ”

 

について解説していきます。

 

 

〇この記事のポイント

・不登校のときに避けたい心のワナ ″二項対立”

・心のワナの脱出方法

 

 

 

 

 

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学校,「行く?行かない?」二項対立のワナ

最初に書いたように

 

学校に行けなくなると

 

親子で

 

学校に行けるか,行けないか

 

でモメるようになります。

 

 

これが,最初の問題であって,

 

一番大きなワナです。

 

これを

 

二項対立(にこうたいりつ)のワナ

 

と呼びます。

 

 

ニコウタイリツ!?

 

二項対立とは

 

白か黒か,のように

 

一つの概念に,反対側の概念をたてて

 

ものごとを考えることです。

 

 

 

このワナに,深く,長く落ち込んだ親子ほど

 

学校への復帰も

 

それ以外の道筋も

 

その後の進学についても

 

問題が大きくなっていきます。

 

 

ですから,

 

このワナに深くハマる前に

 

早めに抜け出せれば良いのです。

 

この,ワナの性質について解説します。

  • 二つしかない選択肢
  • 見通しがない

 

 

 

①二つしかない選択肢

 

このワナに落ちると

 

「学校にいけるか,それとも行かないか」

 

の二つしか選べません。

 

ですから,行けた時には

 

親は少しホッとします。

 

しかし,子どもは

 

ひたすら苦行のように感じています。

 

この親子の温度差が

 

のちのち関係を悪くさせます。

 

子どもは

 

 

親のために学校に行った

 

というように。

 

 

 

②見通しがない

このワナに落ちると

 

“学校に行けるのか,行けないのか”

という選択を

 

ことあるごとに子どもに迫ることになるし

 

子どもは,いろいろな人から圧力を感じます。

 

見通しや目的がハッキリしているのであれば

 

案外すんなりと選べてしまうこともあります。

 

しかし,

 

ひたすらに

 

選択を迫り,迫られているうちは

 

親子は身動きがとれません。

 

また,よく

 

 

経過を見ましょう

 

というアドバイスがされることもあります。

 

この経過を見るということも

 

見通しがあっての

 

経過の観察なのか

 

それとも打つ手がなくて

 

経過を観察しているのかでは

 

意味が変わってきます。

 

 

 

これも

 

「刺激をするか,刺激をしないか」

 

二項対立の構図と変わりないのです。

 

 

 

二項対立のワナの中から考える

では,どう考えればよいのでしょうか。

 

例えば,こんな考え方があります。

  • 低い目標を親子で共有する
  • トライ&エラーで考える
  • 選択肢を増やす
  • “二つ”ではなく,スケールで考える

 

 

 

①低い目標を親子で共有する

 

親ごさんや先生は

 

たいてい真剣に

 

カウンセリングに臨んでくださいます。

 

それにもかかわらず

 

カウンセリングがうまくいかない原因は

 

たいていの場合,子どもの考えや気持ちと

 

うまくマッチングしていない時です。

 

 

 

子どもも前を向こうとはしていても

 

親や,先生の目標が高すぎると

 

それに圧倒されてしまうのです。

 

ですから,子どもの目標は

 

“できるけど,まだやっていないこと”

 

くらいの方がちょうどよいのです。

 

 

 

②トライ&エラーで考える

 

“二項対立のワナ” の次に待ちうけているのは

 

“結果と結論をまぜる”

 

というワナです。

 

例えば

 

 

うちの子は不登校から引きこもりになった。

 

 

このまま刺激しない方がいいと思う。

 

 

他の家族からは

 

 

甘やかしていると言われている。

 

 

この子よりも先には死ねないので

 

 

一緒に死のうと思っている。

 

というようなことです。

 

ここでいう結果とは

 

今の状態に何か手を加えてみたら,どうなるか

 

ということです。

 

それは一度やってみて

 

完成するのではなく

 

いろいろなことをやってみて

 

それがダメなら,別のことをやってみる

 

そして,そのあとどうなったのかを

 

確かめる…

 

そういう経過の,一瞬のことにすぎません。

 

先の例でいうならば

 

“手を加えないで見たらどうなるか”

 

を確かめてみることです。

 

 

一方,結論とは

 

主観的に判断すること

 

です。

 

そこには,次のステップは見えてきません。

 

先の例でいうならば

 

「一緒に死のうと思っている」

 

というのにあたります。

 

結論を出して諦めてしまうのではなく

 

試して,結果を見て,そしてまた試す

 

これをくりかえすことは

 

しんどいことではありますが

 

現実をかならず変える方法なのです。

 

 

 

③選択肢を増やす

“学校に行くか,行かないか”

 

は,先にあげたように

 

選択肢は二つしかありません。

 

しかし,他に行ける場所があるのなら

 

選択肢は3つ以上になります。

 

苦しいときほど,

 

選択肢の多さは助けになります。

 

 

 

 

④“二つ”ではなく,スケールで考える

“学校に行くか,行かないか”

 

は,“白か,黒か” と同じです。

 

白と黒の間に灰色があることは

 

誰でも知っていることなのに

 

こと学校のこととなると

 

“学校にどのくらい接触するか”

 

については,考えにくくなってしまいます。

 

くしくも

 

今回の新型コロナによる休校,

 

そして,ネット学習では

 

対象の地域の子どもたちの全員が

 

灰色を経験したことになります。

 

学校に行けない子どもたちの中には

 

今回のネットなどの対応を通して

 

学校との接触の機会が

 

増えた子だっているのです。

 

 

“二項対立のワナ”からの脱出策

考え方を知るだけでは

 

変わることはできません。

 

むしろ,考え方を変えるのは

 

後でもいいのです。

 

 

 

学校に行けなくなったら

 

おススメしたいアクションは

 

以下のとおりです。

  • 子どもの夢について話し合う
  • 復帰プランを作る
  • 適応指導教室やフリースクールを探す
  • 部分登校や別室登校,放課後登校する

 

 

 

①子どもの夢について話し合う

 

なぜ,子どもに夢や目標を

 

考えてもらうのかと言えば

 

持っている力や時間を

 

どこに振り分けるかを

 

決めるためです。

的が定まらなければ

 

エネルギーも時間も

 

ひたすら垂れ流しになります。

 

だからと言って

 

学校に行けなくなって

 

落ち込んでいる時に

 

夢について語らせるのは

 

ナンセンスです。

 

子どもも大人も

 

モードが変わるシチュエーションを

 

準備しましょう。

学校に行けないなら

 

いっとき,学校からはなれて

 

出かけるのも良いでしょう。

 

 

そんなことしたら,

 

子どもは

 

『学校に行かなくていいんだ』

 

って

 

思っちゃうんじゃないですか!?

 

 

そんな風に考える人もいます。

 

しかし,それは

無計画な,気分転換のための外出
だからです。

 

こんな風に

 

目的をもっていて

 

計画の中に組みこまれているものなら

 

何度か試してみても良いのではないでしょうか。

 

また

 

将来について話がしたいけど

 

家にいたら,お互いにうまく話せないから

 

ちがう場所で話そう。

 

 

場所が気分を変えてくれることは

 

よくあるから。

 

 

と伝えた上で,連れだしても良いのです。

 

 

 

③復帰プランを作る

ねらう的(夢・目標)が決まったら

 

次は計画を立てます。

 

目安は,先にあげたように

 

“できるけど,やってないこと”

 

です。

 

具体例としては

 

このようなものがあります。

 

あまり遠い目標を立てると

 

それだけで親も子も挫折してしまいますから

 

1か月ずつくらいのスパンで

 

目標を立てては,修正すれば良いでしょう。

 

また,復帰といっても

 

必ずしも,学校への復帰になるとは限りません。

 

復帰すべき目標地点は

 

その子らしく生きていくこと,です。

 

 

その時,必ずと言っていいほど

 

途中で,あきらめたい気持ちが

 

襲いかかってきます。

 

 

その時には,マインドフルに受け止めましょう。

 

時間はかかっても,行動を続けていれば

 

かならずちがう現実が開けてきます。

 

 

 

 

③適応指導教室やフリースクールを探す

学校に行けなくても

 

適応指導教室やフリースクールならば

 

通えるというお子さんもいます。

 

その他に,放課後等デイサービスの

 

日中預かりサービスなども

 

利用できることもあります。

 

詳しくはこちらのリンクを

 

ご参照ください。
【不登校】学校に行かない,行けないお子さんの居場所3つ

 

 

 

④部分登校や別室登校,放課後登校する

お子さんが

 

学校を完全にあきらめてしまっていないなら

 

〇途中から,もしくは,途中まで通う “部分登校”

 

〇相談室や保健室など別室に通学する “別室登校”

 

〇放課後に顔をだす “放課後登校”

 

など

 

“行くか,行かないか”ではなく

 

“どの程度,学校を使うか”

 

という見方で

 

学校にいくのも

 

良い選択肢ですし

 

よくとられている方法です。
【不登校の前に】保健室登校の5つのメリットと3つのデメリット

 

 

 

二項対立のワナから脱出した人の話

 

娘は,最初は別室登校していましたが

 

途中からは行けなくなりました。

 

適応指導教室に通うことを

 

提案したところ

 

通ってみることになりました。

 

娘は現在通信制の学校を選び

 

楽しく通っています。

 

学校に行けるかどうかより

 

“どう自立させるか”の方が大事だと

 

気づくのに時間がかかってしまいました。

 

今となっては,

 

あの時,もっと寄りそえてたら

 

娘は楽だったんだろうな…と

 

反省しています。

 

 

 

 

今は通信制高校に通っています。

 

学校も何ヶ月も行ってませんでした。

 

このままではダメだと思いながらも

 

動く気になれませんでした。

 

しかし,ある日突然

 

学校に行く気になり,

 

その日から少しずつ

 

登校するようにしました。

 

最初は短い時間からだったけど

 

そうしているうちに

 

登校日数も増えて

 

学校にいられる時間も伸びてきました。

 

そして普通高校を受験して合格しました。

 

でも,不登校の経験から

 

「自分に合うのは通信制高校だ」

 

と思い,自分で通信制高校に決めました。

 

学校にいけなかった時の私は

 

今のような将来があることを

 

想像もできなかったと思います。

 

変わりたいという気持ちと

 

小さな行動があれば

 

いつかは変われます。

 

学校は行ける分だけ行けばいいし

 

味方になってくれる人はいます。

 

 

 

まとめ

今回は

子どもが不登校になると

おちいってしまいがちな志向

二項対立

についてご紹介しました。

新型コロナは良くも悪くも

影響を与えました。

どの子も,

「行きたくても行けない」

を経験したのです。

これからの学校は

“子どもが行くべきところ”

ではなく

どのくらい使うか

という基準でみるのが

良いでしょう。

もちろん,たくさん使えばそれだけの

メリットもあるでしょう。

ご意見ご質問などは下記リンクまで

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