公認心理師のツナカンです。
ふだんは不登校のお子さん
子育てに悩む親ごさん
学校の先生を
応援しています。
『自分はADHDなのかもしれない』と思うようになって来ました。
小さかった頃の記憶はあまりないのですが、
忘れものが多かったり
ちょっとしたことで怒ってしまったり
自分で自分がコントロールできないことがあります。
今は不登校でカウンセリングにも通っているので
その時にこのことを相談しようと思うのですが
あまりこういうことは言わない方が良いんでしょうか?
こんな風に,中学生くらいになると
自分のことを意識するようになったり
他人とうまくいかない経験などを通して
自分を『発達障害かも』と感じはじめる子がいます。
一昔前だと,ただ悩むだけだったのですが
発達障害が広く知られるようになったことや
ネットの情報にアクセスできるようになったことで
少し離れて自分を見られるようになったのです。
今回は,
自分に発達の偏りを感じたらどうすればいいか
について解説します。
この記事の対象は,中学生くらいのお子さんから
その保護者の方向けとなります。
この記事を読んでもらえれば
“自分はちょっと他の人とちがうかも…”と
思ったときや
子どもから,“自分は人とちがう気がする”という
話があったときに
どのようにすればよいのかが
わかるようになります。
- 専門家に相談する
- 記録をつける
- 診断がつけられるのは医者だけ
- 名前がつくことにはメリットもデメリットもある
「わたしは発達障害かも…」それならすぐ相談しましょう
表題の通りなのですが
自分が「なんだかあまりにも他とちがう」と思うなら
専門家に相談しましょう。
そして
診断ができるのは医者だけ
ということを知っておいてください。
そんなこと言われても,専門家って心当たりがないよ。
もうカウンセラーやお医者さんとはつながってるけど
ちゃんと相談にのってもらえるのか心配です。
本当に発達障害で悩んでいる人からしたら申し訳ない気がする。
そんな方々のために
- まだ相談していない
- もう相談機関や専門家とつながっているけど,言い出しにくい
の二つのパターンを想定して
どのようにすればよいのかお伝えしていきます。
また,すでに専門家につながっていても
つながっていなくても診断名が下りるまでには
おおむね以下のような流れになることは
おさえておいてください。
なお,相談の経路については上記に限らず
いろいろな経路がありますので
参考ていどと考えて下さい。
まだ相談していないパターン
まだ誰にも相談していないのであれば
相談する相手として以下のような人たちに
話してみることをおススメします。
- 担任の先生
- 養護教諭
- スクールカウンセラー
- 小児科の主治医
- 教育支援センター
- 発達障がい者支援センター
①担任の先生
担任の先生そのものが
発達障害であると認定してくれるわけではありません。
しかし,学校での様子を間近で見てくれているのは
担任の先生です。
自分(あるいは子ども)が
どのようなところに違和感があるのか
相談してみることで,一定の気配りを
してくれることもあります。
何より,スクールカウンセラーとのつなぎをしてもらう上で
通らないわけには行かないでしょう。
②養護教諭
自分の違和感や,生きにくさを整理したり
担任の先生と連絡してもらうために相談します。
担任の先生に話がしにくい時には
養護教諭に相談してみるのも良い方法です。
多くの養護教諭は親身になってくれます。
また,担任の先生の気づかないところに
気づいてくれることもあります。
自分(あるいは子ども)の違和感について話しておけば
担任の先生と連絡してスクールカウンセラーに
つないでくれやすくなります。
③スクールカウンセラー
スクールカウンセラーへの相談は
診断のためというよりも
自分の生きにくさや,違和感を
整理するために行きます。
学校にもよりますが,スクールカウンセラーは
校内でもわりと相談しやすい専門職です。
予約が入っていなければ
相談室にいって
「相談があります」
といえば,気さくに応じてくれるはずです。
③小児科の主治医
もし,小さなころからかかりつけの
小児科の主治医がいるのであれば
そちらに相談してみるのも一つの方法です。
なぜなら,お子さんの成長過程を
ある程度知ってくれているし
カルテとして情報が保存されているからです。
医師によっては,一部の検査をしてくれたり
専門医を紹介してくれることもあります。
④ 教育支援センター
教育支援センターは,診断のためというよりも
自分の生きにくさや,違和感を
整理するために行きます。
相談の中で“傾向”を把握して
“やっぱり自分は偏りが大きい”
と思ったら医療機関に申し込んでみるのが良いでしょう。
まだ一部の市町村にはないところもありますが
教育支援センターには心理職がいます。
直接,連絡をして相談できることもありますが
学校を通さないと相談できないこともあります。
ただし医療機関へのパイプがないこともありますので
診断を目的とするのであれば
先に医療機関に連絡をとってみても良いでしょう。
⑤発達障害者支援センター
医師の診断の前と,診断が下りた後に
相談する専門の機関です。
医療や福祉との連携もしており
大人になっても相談し続けられるので
生活に困ったときなども相談することができます。
相談したいときには,HPを見て電話などで
前もって連絡をしておくと良いでしょう。
すでに専門家とつながっている場合
発達障害の診断は出ていないけど
カウンセラーや医者につながっている
という場合は,心配や違和感について
ありのまま話してみましょう。
ただし診断をもらうには
医療機関に何度か通わなければなりません。
知能検査や脳波などの各種の検査や
聞きとりなどがあります。
たとえ,医師であっても簡単に
発達障害であるという診断はしないのです。
相談する時のポイント
「わたしは発達障害だと思うんです!」
こんな風にいきなり話しだしたら
相手におどろかれるかもしれません。
ですので,自分で『自分は発達障害ではないか』と思ったポイントを
はっきりさせておくと良いでしょう。
例えば
- 他の人の気持ちがよくわからない
- なぜか仲間はずれになってしまう
- 怒りっぽい
- 怒られやすい
- 文章問題が苦手でいやでしかたない
など,さまざまですが
主観的な感じの他にも
なぜか,おちいりがちなパターンなど
こまめにメモをとっておくと良いでしょう。
診断名をつけてもらう意味を考えて
発達障害であると認められることには
メリットもデメリットもあります。
これを秤にかけて,メリットの方が大きければ
診断名をもらうことに意味があります。
そうでないのであれば,
診断名にこだわるよりも
生活面や行動面を見直して,改善をすることで
生きやすくすることもできます。
メリット
メリットとしては以下のようなものが
考えられます。
- 合理的配慮をしてもらえる
- “生きにくさ”に名前がつく
- 必要に応じて薬物治療をうけられる
合理的配慮とは,その人の個性に合わせて
対応してもらうことです。
例えば,特別支援学級の入級や
課題の出し方を工夫してもらったり
宿題の調整などがあります。
また,今までは
「どうしてそうなるんだろう…」
と思うことに名前がつくと安心できる
ということもあります。
服薬は主にADHDのお子さんに効果的です。
デメリット
デメリットには以下のようなものが
あげられます。
<
- 偏見を持つ人がいる
- 名前がつくだけで大きく変わらない
- 名前にしばられてしまう人もいる
残念ながら,発達障害に対する偏見はまだあります。
特に,地方の高齢者には理解されないこともあります。
また診断名がついたとしても
必ずしも服薬による治療が必要だと判断されないことや
合理的配慮についても十分になされないこともあります。
そして,自分の生きにくさに名前がつくことで
自分自身を障害者として扱ってしまうという
新たな生きにくさにつながってしまうこともあるのです。
まとめると
傾向があったとしても
メリットがデメリットを上回らないのであれば
診断名をつけてもらうことに,こだわる意味はない
のです。
環境によっては,発達障害の傾向があっても
問題にならないことだってあります。
まとめ
今回は
「自分は発達障害!?」と思ったときの対処法
についてご紹介しました。
発達障害の傾向があったとしても
うまくやっている人はいます。
診断名をつけることのメリットが大きそうなら
医療機関で相談してみるのも良いでしょう。
その前に,身近な人や,カウンセラーに
気軽に相談してみるのが良いでしょう。
それだけでも,きっと楽になれることがあるはずです。
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