【知らなかった!】児童養護施設の実態とは?

子育て

こんにちは ツナカンです。

 

ふだんは心理師として

教育分野で

不登校のお子さん

子育てに悩む親ごさん

学校の先生を応援しています。

 

 

今回は児童養護施設についてお話ししたいと思います。

というのも、わたしは今の職場の前は

児童養護施設で心理職をしていました。

 

退職した今でも児童養護施設のことを思い出すことがあります。

退職した理由はいくつかあるのですが

決断をするまでに至るまで、たくさんの思いが交錯しました。

 

この記事を読んでもらうことで

 

児童養護施設ってどんなところ?

と思う方に

施設での生活や、子どもたちが抱える問題

をお伝えします。

 

 

また学校の先生は、

児童養護施設で生活している子どもたちを

教えることがあります。

 

そのため児童養護施設での生活や

子どもたちが抱える問題などについて

理解を深めることができ

よりよい応援ができるようになるでしょう。

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知らなかった!児童養護施設の実態とは?

 

児童養護施設は

親からの虐待やネグレクトなどの理由で

家庭を離れて生活しなければならなくなった

子どもたちが暮らす施設です。

ここでは児童養護施設での子どもたちの生活や

施設で働く職員についてお知らせします。

 

 

 

ルーティーン中心の生活

 

児童養護施設での生活ですが、

食事、睡眠、学校生活など、

日常生活の様々な面で支援がされています。

 

 

日課については学校と連動しているので

施設ごとのちがいはあまりありません。

決まった時間に起床し、食事をとり、

学校に通っています。

部活動にもふつうに参加していますが

多くの子が習いごともできるようになっています。

こうしてそれぞれが生活リズムを整えています。

 

 

一方、生活がルーティーン化されていることで

プライバシーには課題を抱えています。

 

 

子どもたちは、施設によって異なりますが、

部屋をシェアすることが多く

ふつうの家庭のようなプライバシーは

必ずしも守れていません。

個室になっていてもカベがうすかったりして

隣の物音が聞こえてくることもあります。

 

個室化も進められているのですが

日本では大きな集団でまとめて養育することが多く

わたしが施設で勤めていた時も

多くの施設で子どもたちのプライバシーを

守れないような建物の構造になっていました。

 

またプライバシーは

子ども同士の力関係によっても破られることがります。

 

力の強い子が、力の弱い子の個室に侵入してくると

それを断れず許してしまうこともあるのです。

これが施設の中で大きな事件に繋がることもありました。

 

加えてルーティーンを守るために

食事も同じような時間帯に作られます。

 

その一方で子どもたちが帰ってくる時間帯には

差がありますから、できたての美味しいご飯を

味わうことができない子もいました。

 

電子レンジで温めることもできますが

できたてとは風味も味わいもちがいますから

本来であれば食べられたかもしれない物も

苦手意識を持つ子もいたのではないでしょうか。

 

 

子どもと職員

 

子どもたちはさまざまな経験をして

施設に入っています。

 

家庭でされたことが施設で再現されることもありますし

過去に施設の中で経験したことが再現されることもあります。

それが攻撃としてあらわれることも多く

特に若い職員はそうした子どもたちの攻撃の的になることは

少なくありませんでした。

 

また心理職も受容的なスタンスをとることが多いため

わたしを含めてほかの施設の心理職も

子どもたちの攻撃をうけることは多いようでした。

 

一方、そうした攻撃の中には

「ここまでしても、お前はここにいようとするのか?」

というテストの意味合いもあるようです。

子どもたちは見捨てられたような気もちを持って

施設で生活していますし

好きになった職員がやめてしまうのを

何度も見てきています。

 

だから、そういうテストを

何度もくりかえし行うのです。

 

このテストにパスするには数年かかります。

パスすると、子どもたちが

職員の話に耳を傾けてくれるようになります。

それは、わたしも同じでした。

 

わたしが働き始めて間もないころ

わりと仲良くしていて

信頼関係もできていたと思っていた子に

「どうせ先生もやめるんでしょ。」

と言われたことは忘れられません。

 

 

 

児童養護施設の専門職

 

児童養護施設に入所する子どもたちは

色々な事情を抱えています。

そのためその道のエキスパートが

配置されています。

それは以下のような人たちです。

  • 児童指導員
  • 保育士
  • 心理職
  • 家庭支援専門相談員
  • 自立支援担当職員
  • 里親支援専門相談員
  • 栄養士
  • 看護師

 

これら専門職はどの施設にも

一定の要件を満たせば配置することができます。

ただし要件を満たせずに

専門職を十分に配置できていない施設もあります。

どれだけの専門職が雇えるかの工夫が

管理職の力量でもあります。

 

わたしはこのうちの心理職でした。

しかし、実はエキスパートといっても

“児童養護施設に特化している”という意味ではないのです。

 

児童指導員は

  • 心理職
  • 家庭支援専門相談員
  • 自立支援担当職員
  • 里親支援専門相談員

 

になれるのですが、その要件は

  • 資格をとって施設で勤める
  • 施設で勤めていて必要な要件を満たしている人が施設長に任命される

このふたつのパターンです。

 

この意味が伝わるでしょうか…。

 

一言で言うと

虐待を経験した子のケアの専門職はいない

ということです。

どの専門職も現場でもまれながら

施設の子の特徴に合わせてスキルを上げていく

というのが現状なのです。

 

 

わたし自身もカウンセラーとしての技術や知識は

大学院で学んできましたが

児童養護施設のことはほとんどわからない中で

キャリアを磨いてきましたから

施設の独特の雰囲気や

目の前に広がる事実になかなか対応できませんでした。

 

また個人的に気がかりなのは

児童指導員が心理療法担当職員になれるということです。

 

児童指導員は、指導がメインとなる職種です。

生活のなかでは問題解決やルーティーンを守ることが大きな役割です。

こうしたことから、ついつい

“子どもの将来のため” とルールを守らせようとします。

社会のルールと施設のルールをリンクさせて考える傾向があります。

 

一方、カウンセリングは

心理的なケアがメインとなる職種です。

ルーティーンから零れ落ちた子の個性や特性を見て

言葉にできない思いを言葉にする手助けをしたり

その子の価値にもとづく行動を尊重して

将来的には社会に適応していくことを目指します。

また理論立てられた哲学や方法を重視して関わります。

 

社会に適応できるように支援する意味では合流しますが

方法論は異なります。

 

 

児童養護施設は養育の場ですから

躾や指導をしなければならないことがあります。

どの専門職でもこうしたシーンに立ち会います。

 

 

しかし、それでも心理的ケアと指導は

すみわけが必要だと考えます。

 

大豆を使った調味料でも

ミソと、しょう油では全くちがう味がします。

原料は同じでも加工のしかたが変われば

全くちがうものになります。

 

 

 

わたしが施設の心理職をやめたワケ

 

児童養護施設で働いていたころ

心理療法や生活場面で苦労することはたくさんありました。

それでも、子どもたちの笑顔や成長を見ることは

大きなやりがいになっていました。

 

一方で子どもたちが経験してきたトラウマや

それが生い立ちに影響していることや

施設という特殊な環境による

生活上の問題を目の当たりにすることもありました。

そのような現実を目の当たりにして、

自分の力不足や、限界を感じることがありました。

 

それはそれで辛かったのですが

職員同士の意見の食いちがいや

施設の運営に関する問題もありました。

 

子どもたちの心理的な支援に力を注いでいましたが

職員同士の人間関係が

子どもたちの生活に大きな影響を

及ぼしていることはたしかでした。

わたしが退職したあとも

新しい職員が入り子どもたちの支援を続けています。

しかし残念なことにやめていきます。

 

 

児童養護施設での支援はチームワークです。

互いの専門性のちがいや、多様性を認めながら

時代に合わせて、よりよい支援を行わねばなりません。

 

そのためには掛け声だけではなく

施設文化そのものを変えていけるような仕組みが必要です。

 

 

 

『児童養護施設で暮らすということ-子どもたちと紡ぐ物語』

 

今回この記事を書こうと思ったきっかけは

本書に出会ったからです。

『児童養護施設で暮らすということ-子どもたちと紡ぐ物語』 

現役の児童養護施設の心理職である楢原真也氏が

自らの経験をもとに綴った感動的な本です。

本書には、児童養護施設で暮らす子どもたちの日常や、

施設職員たちの心温まるエピソードがつづられています。

 

また、著者自身が抱えた悩みや苦悩、

そして児童養護施設という場所で得たもの

についても語られており

それが読者の感心を高めます。

わたしも児童福祉に携わっていた者として

過去の記憶がよみがえり

「ああ、あった、あった!」

「あのときは辛かったな…」

「今あの子はどうしてるんだろう…」

そんな多く思いを呼び起こされました。

児童養護施設で暮らす子どもたちが

どれだけ懸命に生きようとしているのか

施設という独特の生活のありようが

どんな風に影響しているのか

そして施設職員たちが、懸命に支えようとする様子が

その一場面一場面から伝わってきます。

 

本書は、児童養護施設に関心を持つ方に

深い感心と、心に残る読書体験をもたらしてくれるはずです。

これから施設で働こうかと考えている人

児童養護施設の子と関わる大人に

ぜひ手にとってもらいたい本です。

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まとめ

児童養護施設は

家庭環境の問題から保護された子どもたちが

生活しケアを受ける施設です。

 

施設の数だけ多様で子どもたちが抱える問題も複雑です。

そんな児童養護施設に配置される専門職の役割は大きく、

子どもたちの成長や心理的健康をサポートする重要な役割を果たしています。

 

しかし、児童養護施設においては、職員が抱える課題もあります。

たとえば、子どもたちの問題に向き合うことで

自分自身が心身ともに疲弊してしまうこと

施設内のスタッフ同士のコミュニケーションや

チームワークの問題などもあります。

そんな課題を乗り越えるためには、専門職同士の協力や

専門的なスキルや知識を向上させることが重要です。

 

さらに、子どもたちに対してだけでなく、

保護者や地域住民との連携など

社会全体で子どもたちを支えることが求められています。

今回は、わたしが児童養護施設で働いた経験をまじえて

児童養護施設の概要と、実態をほんの少しだけお伝えしました。

 

そして子どもたちと向き合う中で感じた喜びや

子どもたち、そして自分自身の

この記事を通して少しでも伝われば幸いです。

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