こんにちは。
公認心理師のツナカンです。
ふだんは,教育支援センター(適応指導教室)で
学校に行けないお子さんや
子そだてに悩む親ごさん
学校の先生方の
こころの支援をしています。
中学1年生の夏頃から
3年の春になるまで不登校でした。
過敏性腸症候群という診断で
学校に行こうとするとお腹が痛くなったのです。
2年の冬くらいになって
そろそろ学校に行かないと…
と思うようになって
なんとか学校に行けるようになりました。
そこから勉強はがんばったけど
自分が満足できるような高校生活じゃなくて
最近は高校に行くのが少し辛くなってきました。
病気だったから仕方ないし
過去はどうにもならないって分かってます。
でも、私は中学生の頃の私が嫌いです。
この気持ちはどうしたら楽になれますか。
わたしたちは
せっかく苦しい時期をぬけ出せても
こんな風に,過去のできごとに
苦しめられることがあります。
今回は
過去との付き合い方
についてお伝えします。
ポイント
- 付きまとう過去との付き合い方
- 過去をうけいれるとはまぎらわせることではない
- こころが話すストーリーと事実は別もの
- こころをありのままにしておく
この記事を読んでもらえれば
不登校だった人はもちろんのこと
それを支える家族や
過去に苦しんでいる
大人にとっても
過去との付き合い方のヒントを
知ることができるでしょう。
復帰はできたけど…付きまとう過去との付き合い方
過去のできごとに苦しめられている方に向けて
対処法をはじめにお伝えします。
こころはあなたに色々なことを語ってきます。
そのたびに
「へ~,そういう話なんだね。」
「いろいろと教えてくれてありがとう。」
「そういうこともあるのかもね。」
と言ってみましょう。
はじめからそんなこと言われても意味がわかりませ~ん!
という方は,ぜひ続きを読んでください。
過去をうけいれるとは
過去に苦しめられているあなたは
いやな記憶や考えが浮かんだときに
どんな風にしていますか
思い出さないように
忘れるように
ムリに明るくふるまったり
自分にむかって
「あれはしかたなかったんだよ。」
と,なぐさめたりしていますか。
それとも,別の理屈をつけて
納得しようとしていますか。
誰かのせいにしたりしていますか。
そんなことしてもムダだってわかってるよ!
『過去は返ってこない』
って言いたいんでしょう!?
そんな風に思うかもしれません。
この記事でわたしが伝えたいのは
そういうこととはちょっとちがいます。
結論からいうと
うけいれる
ということです。
うけいれてるつもりですけど?
そんな人でも
過去のことで苦しいと感じているなら
もう一度,“うけいれる” ということについて
考えてみませんか。
過去をふりかえりましょう
過去との付き合い方を知るために
これから簡単なエクササイズをしてみましょう。
①次の文章を完成させてください
「私は ~ だったことをなくしたい(忘れたい)」
この ~ の中に入るのはどんな過去でしょうか?
②この過去を忘れるために,どんなことをしてきたか選んでください。
- 趣味に没頭した
- 思い出させるような人や場所をさけた
- 他人のせいにした
- 自分に『しかたなかったんだ』『いずれいい思い出になる』『あのおかげで強くなったんだ』等と言い聞かせた
- できごとを否定した
- 誰かに話してスッキリしようとした
- アルコールやギャンブルなどで忘れようとした
- その他
③次の質問の答えをチェックする
- ②をすることで長いこと思い出さずにすんでいるか?
- ②をするために使ったものは何か?(時間,お金,エネルギー,人等)
- ②をすることで満たされているか
③がカンペキであれば
これ以上,記事を読んでもらう必要はありません。
しかし,カンペキでないのであれば
続きを読んでもらう価値はあるでしょう。
気づきましたか?
先ほどの質問の答えを
きちんと考えてくれた人は
こんな風に気づいたかもしれません。
いやな過去を忘れるために,
たくさんのエネルギーや時間を使ってきてしまった
短い時間は忘れることはできたけど
長い間,忘れることはできなかった…。
短い時間は忘れる効果があったけど
長い目で見ると良くないことが多かった…。
もしかしたら,これに気づいて
いやな気持になったかもしれません。
絶望的な気分になったかもしれません。
しかし,それで良いのです。
それは自然なことなのです。
このイヤな感じを味わうことが
あなたの生き方を大きく変えるための
カギになるのです。
ストーリーと事実は別もの
新聞や雑誌,ネットなどの情報は
正確ではないことは
だれしもが知っているところです。
そこには,出版している会社や
書いている人の意図があります。
実は自分のこころにも同じことがおきています。
こころは,人が気づかないうちに
まったくちがうもの同士をつなげたり
比べたり,区別したり,
時間をこえたりさせています。
へぇ~そうなんだ。そんなこと考えたこともなかった。
そんな感じでピンと来ないかもしれません。
では,ここでまたエクササイズをしてみましょう。
梅干しのことを想像してください
あの,色…表面の凹凸…
一口かじってみます。
ゆっくりと噛んでみます…
果肉が口の中に入ってきます
そして,口の中に広がる…
口の中で何かしらの反応はしていませんか。
しかし,目の前に梅干しはありませんね。
こんな風に,こころは目の前にないものにまで
事実とはちがうものを
作り出す力を持っているのです。
そして,こころのこうした働きをうたがわず
事実としてうけとめてしまうことを
フュージョンと呼びます。
こころの声をまじめに聞かない
再び,かんたんなエクササイズをしてみましょう。
①こころの言うことを真に受ける
過去のできごとについて
こころはこんな風に言います…
「あの時,もっと~だったら…」
この『~』に,言葉を入れて
それを真にうけてみましょう。
例えば,『勉強ができていたら』『人に好かれていたら』
『金持ちだったら』『健康だったら』…
何を入れるかは自由です。
すると,あなたはどんな気分になるでしょうか。
②こころをからかう
次に,
「あの時,もっと 『私はバナナに似て』 いたら…」
そう考えてみて下さい。
そして,あなたにどのような影響を与えているか
観察してみて下さい。
どうでしょう…バカバカしくなりませんか。
『~』の中には何を入れても良いのですから
バナナを入れても良いはずです。
こころは巧みな話し手ですが
その言うことを真に受ける必要もないのです。
ありのままを受け入れる
後悔や
昔あったイヤな記憶
これらは,招かれざる客のようなものです。
できれば,思い出したくもないし
後悔しないように生きていきたいものです。
時々は実際にそうするために
気をそらそうとして
それがうまくいくこともあるでしょう。
しかし,ここまで読んでくださったあなたは
それがうまくいかなかったから
今,ここまで読んでくれているはずです。
わたしが提案したいのは
こころを好きなようにさせておく
という方法です。
目を閉じて
何回か深い呼吸をします。
そして
自分が“こころ”という池のほとりに
立っているところをイメージしてみてください…
耳から誰かの声が聞こえたり
自分の手が何かに触れたり
過去のことを思い出したり
そんなことが起きると
こころという池には波が立ちます。
波が立ったのを感じたら
そのほとりで
こころという池に起きた波が
どんな風に広がっていくのか
どんな形で広がっていくのか
それを眺めてみるのです。
これが,こころをありのままにするワークです。
一日に数分からでも良いので試してもらえると
少しずつ,こころをそのままにしておける時間が
長くなっていくでしょう。
苦しいけど前よりも自分が好き
不登校から復帰できたのに
「あの時,もっと早く学校に行ってれば…」
自分でも
「いつまでクヨクヨしてるんだ…」
と思って,せっかく復帰できたのに
今の生活を楽しめないでいました。
だけど,自分のこころを
ありのままにしておく方法を覚えて
毎日,練習するようになったら
こころが騒ぎ出すのがわかるようになってきました。
いやな記憶をなくそうとして
ムリに何かに夢中になろうともせず
ただ,後悔しているのでもなく
そのままにすることがわかってきたら
自分のことがだんだん好きになってきました。
今でも毎日,こころは騒ぎます。
いつでも,こころを好きなようにできるわけでもありません。
でも自分のことが前よりも好きです。
まとめ
今回は,過去のことをうけいれられない人に向けて
こころをありのままにしておく
ということを提案しました。
わたしにもたくさんの後悔はありますし
忘れてしまいたくなるような記憶もあります。
ですが,今回お伝えしたような方法で
なんとか付き合っています。
過去は過去として受け入れるのは
簡単なことではないですが
“今”からでも,なりたい自分になることができます。
今回の記事が,過去に苦しむ人の
お役に立てば幸いです。
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