【とにかく早く!】アタッチメント(愛着)障害のケア

子育て

公認心理師のツナカンです。

 

ふだんは不登校のお子さん

 

子育てに悩む親ごさん

 

学校の先生を

 

応援しています。

 

 

 

学校で暴れてしまうような子について

 

先生から相談にのることが多いです。

 

 

こんな子は将来どうなるんでしょう?

 

学校で大きなトラブルにからみがちな子には

 

少なからず,アタッチメント(愛着)に課題をもつ子がいます。

 

わたしがアタッチメント障害をうたがうポイントは

 

以下のとおりです。

 

  • 先生との間で力比べをする
  • 衝動性が高い
  • 言葉にするのが苦手
  • 親が子どもに暴力をふるったようなあとや,証言がある
  • 忘れ物が多い
  • あまり服がきれいではない
  • 自傷や他者への暴力

 

また,いつくらいからそのような状況になっているのか

 

時間をさかのぼれば,アタッチメントへの影響を

 

あるていどイメージすることができます。

 

今回は

 

アタッチメント障害をかかえた子が成長するとどうなるか

 

について解説します。

 

これを知ることで

 

子どものピンチに反応できるアンテナの感度を上げて

 

学校で問題をおこしている子のために

 

今なにをするべきなのか

 

を考えることができるようになります。

 

 

できれば見たくない

と思うかもしれませんが

 

気づいた人がすべてをしなければならないのではありません。

 

気づいた人から,できることを早くしてあげることが大切です。

 

 

あのとき~してあげればよかった…

その後悔はずっと残ります。

 

そうならずに前向きに子どもとむきあい続けるためにも

 

知っておいてほしい情報です。

 

 

 

 

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【とにかく早く!】アタッチメント(愛着)障害のケア

 

最初におつたえしておきたいこと,それは

 

アタッチメント障害はトラウマによっておきる

 

ということです。

杉山(2019)によると

 

アタッチメント(愛着)障害は

 

年代ごとに以下のようなプロセスを

 

進むといわれています。

 

 

 

言葉になじみのない症名もあるかもしれませんね。

 

DSM‐Ⅴという,アメリカの診断ガイドラインを参考に

 

それぞれカンタンな解説を加えておきます。

 

アタッチメント障害

  • 辛いときに親に助けをもとめない
  • 気もちをかよわせないか,出しすぎる
  • 見なれない人にもなれなれしく近づく
  • 大きくなってもやたらとなれなれしい
  • 感情のコントロールがむずかしい
  • 近づきたい人に攻撃したり,逆におびえたりする     など

 

子どもにとって安心できない環境で育てられ

 

くりかえし,心のキズ(トラウマ)になるような場面に

 

くさらされたために生じるのだと考えられています。

 

 

多動性行動障害

  • 動き回っておちつきがなく,注意がつづかない
  • 他者への暴力や妨害,いじめなど
  • 自分をキズつける            など

 

 

 

解離性障害(かいりせいしょうがい)

  • ぼーっとする
  • スイッチが入ったように行動(暴れる)する
  • はげしい感情
  • 記憶がなくなる
  • オバケを見る             など

 

 

 

解離性同一性障害(かいりせいどういつせいしょうがい)

  • 感情や感覚,記憶などがブツ切りになる
  • キズついたときのことがかってに,リアルに思いうかぶ(フラッシュバック)
  • これらの症状のせいで生活がむずかしくなっている
  • いくつかの人格があって,いれかわる          など

 

 

 

非行

  • いじめ
  • ケンカ
  • 他者や動物に害をくわえる
  • 物をこわしたり,ぬすんだりする
  • 規則をやぶる           など

 

 

 

触法行為・薬物依存

  • 法律やぶりをくりかえす
  • 違法な薬物などをつかい,やめられなくなる など

 

 

これらがセットになって

 

あらわれることもあります。

 

発達障害について知っている人は

 

 

発達障害の二次障害みたいだな…

 

 

 

と気づく人もいるでしょう。

 

そうなんです…

 

アタッチメント障害がおきるパターンには

 

2つのコースがあると見られています。

  1. 発達障害 + トラウマ(虐待)
  2. トラウマ(虐待) → 発達障害

 

 

もともともっている発達障害に

 

日常的なトラウマ(虐待)がくわわったために

 

悪くなるケースと

 

虐待によって発達障害のようになってしまうケースです。

 

ちなみに,虐待のないADHDの子には薬がききますが

 

虐待+ADHDの子には薬が効きにくく

 

気分の不安定さが強いといわれています。

 

このようにトラウマ(虐待)のせいで

 

関わるのがむずかしくなっていくことを

 

「第四の発達障害」杉山(2007)

 

とも呼ばれています。

わたしが子どもの施設でかかわったお子さんのなかにも

 

発達障害と似たような行動をしているのに

 

あまりにもかんしゃくがはげしかったり

 

暴力をふるったりする子がいました。

 

わたしも暴力をふるわれたりしました。

 

「発達障害のようだけどなにかがちがう」

 

と感じていました。

うまく言葉にできないなにかだったのですが

 

この「第4の発達障害」について知ったときに

 

 

虐待のせいだったんだ!

 

と分かり、そのとたんに

 

ストンと腑に落ちたのです。

 

自分がなにをするべきなのか

 

見とおしがついたような気がしたのです。

 

 

 

アタッチメント障害は治るのか?

 

友田(2017)によると,脳の成長の観点から

 

「幼少期ほど柔軟ではないにせよ、根気よく時間と労力を重ねれば、やはり修復は可能」

 

としています。

 

 

しかし杉山(2007)は

 

「思春期になって性衝動が高まる前のケアが大切」

 

だといいます。

わたしがかかわってきた

 

子どもたちの経過をふりかえってみても

 

同じ意見です。

 

小さいころに大人とのあいだで経験したことが

 

大人になってからも再現されていることが少なくないのです。

 

 

また,子どもの施設のお子さんだけではありません。

 

家で生活している子のなかにも

 

離婚やDV,不安定な生活によって

 

アタッチメント(愛着)障害になっていることもあります。

ですから,アタッチメント障害の子のケアは

 

早ければ早いほど良いことを実感しています。

 

ケアをとどけるためには家族のことも支援する必要があるし

 

そのためには福祉とのネットワークが欠かせないのです。

 

 

 

 

成長したアタッチメント障害は治るのか?

 

先ほどアタッチメント障害をかかえたまま大きくなると

 

解離性同一障害(かいりせいどういつせいしょうがい)

 

になる可能性があることを示しました。

 

 

ここでは,解離性同一性障害を

 

“大きくなったアタッチメント(愛着)障害”

 

とイメージしていただきたいと思います。

 

 

今,アタッチメント障害の子とかかわっています。

 

大きくなって思春期になりました。

 

もう治らないのでしょうか…。

 

 

アタッチメント障害から

 

解離性同一性障害になったら

 

治療は,かなりむずかしいといわざるをえません。

 

しかし,トラウマにアプローチすることで

 

治療する方法がいくつか生まれています。

 

 

ここでいくつかご紹介します。

 

  • EMDR(Eye Movement Desensitization and Reprocessing:眼球運動による脱感作と再処理法)
  • NET(Narrative Exposure Therapy)
  • SE™療法(Somatic Experiencing®)
  • TFT(Thought Field Therapy®「思考場療法」)
  • TF-CBT(トラウマフォーカスト認知行動療法)
  • CPT(Cognitive Processing Therapy; 認知処理療法)

 

英語ばっかりでさっぱりわからないyo!!

と,さけびだしても不思議ではありません…。

 

なにしろ,これらのプログラムは

 

すべて海外で作られているものだから

 

英語だらけになってしまうのです。

 

 

カウンセラーのなかでも

 

これらのテクニックを身につけている人は限られています。

 

お金も時間もかなりかかるからです。

また,効果についてもまだ十分に証明しきれないものもあります。

 

この記事は,カウンセラーというよりも

 

先生のためのものですので

 

名前を紹介するのみでとどめておきます。

 

もしも興味があれば

 

それぞれのリンクをはりつけておきますので

 

そちらを見てみてください。

 

 

 

 

まとめ

 

今回は

 

アタッチメント(愛着)障害は成長したらどうなるのか

 

について解説しました。

 

ほんとうならば,生まれたときから

 

「世界は安心してよいところなんだよ」

 

と教えてもらえるはずだったのに

 

それがかなわなかったのが

 

アタッチメント(愛着)障害という病理です。

 

今ではセラピーもうみだされていますし

 

なによりも出会った人たちから

 

少しずつエネルギーをもらうことが

 

生きていくための希望になります。

 

だから,支援する人は次の支援者にバトンをつなぐつもりで

 

かかわってみるのが良いでしょう。

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