こんにちは ツナカン です。
公認心理師として
不登校のお子さんや
子育てに悩む親御さん
学校の先生方
の応援をしています。
とうとう夏休みになりました。
学校が休みになると
学校に行けないお子さんも
その保護者の方も
安心して過ごせる時期です。
一時でも
学校に行かなくちゃいけないけど行きたくない
学校に行かせなきゃ
という気持ちから解放されるからです。
しかし,そんな時に
学校に行かないのに遊べるんだね
学校に行かずに遊んでるなんてずるい
という人もいます。
そういう世間の目を気にされる保護者からは
学校に行っていないのに遊ばせていいんでしょうか?
と相談されることもけっこうあります。
これについての私の意見は
不登校でも友だちとたくさん遊んでください
です。
今回は
不登校だからこそ遊ぶべき理由
について解説します。
今回の記事は
- 不登校で遊びに行くのが後ろめたいお子さん
- お子さんが不登校で外遊びや,習い事をさせるのに後ろめたさを感じる親御さん
に向けて書いています。
この記事を読んでもらえれば
例え不登校であっても
遊ぶことに後ろめたくなる必要もないし
むしろ遊んだほうがメリットが大きい
ことがわかるでしょう。
不登校だからこそ遊ぶべき理由4つ
お子さんが学校に行けなくなった時に
お子さんは日中どんな風に過ごしているでしょうか
私が知っている中では
- 家で引きこもってゲーム・ネットなどをしている
- フリースクールや適応指導教室に通っている
- 自分なりに勉強をしている
- 好きなように外出している
ということが多いようです。
このどれも,やっているからと言って
良いも悪いもありません。
しかし世間の目は
学校に行かないで遊べていいね
とか
学校に行かないのに遊んでるなんてずるい。
という視線が注がれています。
ネットでも必ずと言って良いほど
不登校についてくるキーワードです。
先にも言ったように
不登校だからと言って遊んでいけない理由はありません。
また,不登校だからこそ友だちと遊んでほしいと思います。
むしろ遠慮せず遊ぶことの方が前向きです。
以下に
不登校を理由に
友だちと遊ばないデメリットについて解説します
- 遊ばないと人付き合いの能力が下がる
- 遊ばないと成長の機会を失う
- 遊ばないと生活の質が下がる
- 遊ばないと人目につかない行動が増える
遊ばないと人付き合いの能力が下がる
学校は,選んで入ってはいないとはいえ
色々な人との出会いがあります。
その中で,どうやったら人とうまくいくか
学ぶことができます。
これをソーシャルスキルと呼びます。
ソーシャルスキルは自然と学べる部分があり
学校生活で身につくことも多くあります。
不登校になるとこうした機会が不足します。
そうした状況にありながら
不登校という理由で遊ぶことを制限すれば
ますます社会性を身に着ける機会を失います。
ですから,不登校ならばむしろ
学校以外でたくさん遊ぶことが必要でさえあります。
できれば,習い事もさせてみても良いでしょう。
そこで通っている学校とはちがう子とであれば
しがらみもないので,友だちができることだってあります。
遊ばないと成長の機会を失う
人には年齢に応じた成長段階があります。
特に子どもには特定の力が伸びやすい時期があり
それを逃してしまうと,成長が緩やかになってしまいます。
「スキャモンの成長曲線」 引用:https://minna-shigaku.com/category8/entry5.htmlより
こうした成長は遊びや教育を通して促されます。
遊びは他者との関係でレパートリーが増えたり
深まったりするので,やはり誰かと遊ぶことが重要です。
ですから不登校ならなおのこと遊ぶべきです。
遊ばないと生活の質が下がる
不登校を理由に冷たい視線が注がれると
その視線から逃げるようになります。
すると,できることや,行ける場所が狭まります。
人の視線から逃げるとと安心できるので
もっと逃げる行動が強化されます。
このように安心するために逃げることで
短期的にはメリットがありますが
生活範囲や活動レパートリーが狭くなり
社会的引きこもりにつながっていきます。
不登校を理由に遊びを制限することは
長期的にはデメリットが大きくなります。
遊ばないと人目につかない行動が増える
外に出辛くなると家の中での行動が増えます。
家の中で学習すれば良いでしょうが
実際にはなかなかそうはいきません。
なぜなら家にはくつろぐ為の娯楽や
家具があって
たいていは勉強に集中するような環境は
整っていないからです。
するとどうしても代わりに増えるのが
ゲームやインターネットです。
インターネットそのものが悪いわけではありませんし
どこにも居場所がないくらいなら
ネットの世界に居場所がある方が良いでしょう。
しかし,問題は活動範囲が狭くなってしまい
外に出ることができなくなるということです。
ネットは保護者の目が届かないことが多く
気づけば詐欺や事件に巻き込まれるケースもあります。
ですから,保護者の目が届きやすいような環境で
子どもが活動できる必要があります。
だから,不登校でも遊ぶことが必要なのです。
なぜ親は学校に行かせようとするのか
世間の不登校に対する冷たい視線が
保護者を苦しめて
子どもを無理にでも学校に行かせようとさせます。
もちろん,法的には親には行かせる義務があります。
しかし,不登校に関しては
学校に行かせないようにしているわけではありません。
個人的な解釈ですが
親に,学校教育を受けさせる義務が課せられているのは
児童労働による子どもの成長する権利の侵害から
守るためだと考えます。
※ 労働基準法に15歳未満の子どもは働かせてはならないこととされている
わかりきったことを改めてお伝えすると
大人は子どもに学校教育を受けさせる義務 がありますが
子どもは教育を受ける権利です。
権利は使うか使わないかを選べます。
つまり,子どもが学校に行くか行かないかは選べるのです。
だから,子どもが行かないといったときに
生活のリズムを整えたり
学校との連絡・連携をしたり
専門機関を頼ってみたりするなど
親としてできる限り,最大限の義務を果たしたなら
親が親業をサボっているとは言えません。
せっかく不登校になったのなら
学校とはちがう生活をすればよいのです。
子どもが不登校になったら家庭の方針を作ろう
正直なところ不登校に対する世間の目は
温かいとは言えません。
そういう世間の評価によって
親も子も苦しむことになるのです。
ちょっと視点をずらして考えると
学校に行っているか,行っていないか
の二つの評価軸しかないと言えます。
この二つの評価軸しかない世の中の価値感から
距離を置いて幸せに生活できるとしたらどうでしょうか。
そのために必要なことは
家庭の方針
です。
学校に行けるか行けないかとは別に
どのように育ってほしいか
どんな大人になりたいか
を家族で相談するのです。
家庭の方針を作るうえで注意したいのは
以下のような点です。
- 関係が悪化する前に子どもと作る
- 成長とともに見直す
- 学校は成長のためのツールだとみなす
①関係が悪化する前に子どもと作る
学校に行けなくなると
親はつい学校に行くように急き立ててしまいます。
子どもの将来を心配するあまり
そのようにしたくなってしまうのは
自然な反応であると思います。
しかし,それで子どもが学校に行くようになったとしても
たいていはその場しのぎになってしまい
悪化してしまうことも少なくありません。
ですから,行けなくなった時点で
早めに家族で話し合う必要があります。
②成長とともに見直す
家族でうまく話を進められても
不登校が長期化することもあります。
むしろ話し合いの結果,積極的に不登校を選択することも
あっても良いでしょう。
しかし,子どもは成長します。
小さい時のままの方向性にこだわっていては
成長の邪魔になることもあるでしょう。
お子さんの成長や状況に応じて
方針は見直しましょう。
③学校は成長のためのツールとみなす
不登校の相談対応をしている時
親御さんが一番頭を悩ませるのは
どうやったら学校に行かせられるか
を焦点にしている時です。
お子さんの状態によっては
それがうまく行くこともあるので
まずはその方向性で一緒に考えます。
しかし,いろいろと手を尽くしても
打開策が見つからない時もあります。
どうしたら学校に行けるか から どの程度学校を使うか
を考えてもらうように提案します。
なぜなら 学校は成長のためのツール だからです。
例えば,
紙を切るのにハサミを使えば楽だし綺麗でしょう。
しかし,それが感覚的に嫌で
あえて手で切りたいと思う人がいても自然なことでしょう。
同じように,成長という目的を果たすために
道具を使わせることにこだわる必要はないでしょう。
まとめ
今回は,不登校だからこそ遊ぶ理由について解説しました。
不登校だからこそ
遊ぶ必要がある理由として
以下のようなことをあげました。
- 遊ばないと人付き合いの能力が下がる
- 遊ばないと成長の機会を失う
- 遊ばないと生活の質が下がる
- 遊ばないと人目につかない行動が増える
不登校は他人から理解されにくいものですが
不登校になったからこそ得られる環境もあるはずです。
世間の目は無視できなくても
学校の枠から外れたことの良さにも
目を向けていきたいですね。
ご意見やご質問は以下までどうぞ。
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